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2010年11月27日

殉教カテリナ車輪

 2010年2月20日午前11時より、石川県立図書館3階多目的ホールにて、第20回例会が行われました。
 今回ご参加いただいた方は、7名でした。
 1.まず最初に、今回の長編『殉教カテリナ車輪』について、
皆様にご感想、ご意見を伺いしました。
 (未読の方のために、真相に関わる部分は割愛させていただきました)。
・歴代鮎川哲也賞の最高傑作だと思います。
考え抜いた挙句にがんばって完成した、という作品ではなく、
作者の才能が所々に溢れています。
そのため物語としての面白さ以上に、才能を見る楽しさがありました。
・平易な文体で読みやすかったです。
その割に文学的な文章が所々にあり、
後半でその文体を崩しているという点も好評価でした。
第○○章の不自然さには気付きました。
・美術を扱っているという点が新鮮でした。
・以前に読んだことがあるはずですが、すっかり忘れていました。
折原一の某作品、ダビンチ・コードを思い出しました。
それぞれ人物のキャラが立っていますが、
特に奥さんのキャラクターが頭に残り、これはミスリードかとも思いました。
・作者がミステリー好きだということが良く分かります。
最初のミステリーに関する語りを面白く読みました。
第○○章の「ある描写」は不自然だと気付きました。
会話が多くて少し変だと思いました。
ちなみに、もったいなくて袋とじは開けていません。
・最後まで読んでいませんが、手記になってから突然話が面白くなりました。
会話の繰り返しが多く、そこがイマイチだと思いました。
専門用語が出てきても、親切に解説が書いてあり、好感が持てました。
・絵自体は何の変哲もなく、つまらないものですが、
意味が分かってくると面白いと思うようになりました。
第○○章の不自然さには気付きました。
最初に語られた井村の「傷」が後半で消えているのがおかしいと思いました。
『まかしの風景画』とうイギリスの作品を思い出しました。

2.次に、鮎川哲也賞についてお話を伺いました。
・今年度の第21回鮎川賞に応募するため、現在執筆中です。
鮎川賞受賞作は、(『殉教カテリナ車輪』を除いて)『卍の殺人』『ななつのこ』『凍える島』『未明の悪夢』『建築屍材』『写本室の迷宮』『千年の黙』『鬼に捧げる夜想曲』『密室の鎮魂歌』『ヴェサリウスの柩』『雲上都市の大冒険』『七つの海を照らす星』『午前零時のサンドリヨン』を読んでいます。
・受賞作は、『ななつのこ』『凍える島』『七つの海を照らす星』を読んでいます。候補作では、『ヘビイチゴ・サナトリウム』を読んでいます。
・鮎川賞は読んでいません。今回の『カテリナ車輪』だけです。
・受賞作は、『殺人喜劇の13人』『未明の悪夢』を読んでいます。最終候補に残った作家の作品、二階堂黎人『吸血の家』、西澤保彦『仔羊たちの聖夜』、篠田真由美『琥珀の城の殺人』、柄刀一『3000年の密室』を読んでいます。
・受賞作は半分くらい読んでます。ベスト1は貫井徳郎『慟哭』です。
鮎川賞の傾向として、ミステリー好きの人が喜ぶという傾向があるように感じます
(乱歩賞は万人ウケするという傾向なのとは対照的)。
・受賞作は、『「卍の殺人」〜第6回まで、『写本室の迷宮』『鬼に捧げる夜想曲』『密室の鎮魂歌』、『雲上都市の大冒険』、を読んでいます。
個人的ベスト1は『ななつのこ』です。候補作では、『世紀末大バザール 六月の雪』を読んでいますが、おもしろくなかったです。
『慟哭』も読んでおり、こちらは面白かったです。
変わった趣向を凝らしてみると受賞が狙えるのでは。
美術に対抗して、DVDを添付して歌で勝負してみてはどうか(笑)。
・『殉教カテリナ車輪』以外は読んでいません。 
 また、残念ながら例会に出席できなかったMさんからは鮎川賞関連は、氷川透『密室は眠れないパズル』を読んでいるとお返事をいただきました。

投稿者:keita2at 07:11| お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

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