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2013年02月27日

右と左の決まりごと

 もうすぐ、雛祭りです。

 雛人形の「お内裏雛様」と「お雛様」、正しくは「親王」と「親王妃」は、どちらが右でどちらが左か、毎年、迷う問題です。

 日本の伝統礼法のひとつに、「左上右下」(さじょう・うげ)という言葉があるそうです。
 それは、左を上位、右を下位とする「左上位」のしきたりを表しています。

 ということで、左側が「親王」(男雛)で、右側が「親王妃」(女雛)が正解だそうですが、それは「親王妃」(女雛)の左側に上位の「親王」(男雛)が並ぶということになるので、正面から見た場合は、左右が逆となり、右側が「親王」(男雛)で、左側が「親王妃」(女雛)となるそうで、ちょっと複雑です。

 つまり、「左上位」というのは、正面から見た場合、右が上位となって左右の序列が逆になってしまいますが、あくまでも、並ぶ当事者から見て左側が上位・高位とするしきたりだということです。

 古くは律令制の時代、天皇からみて左側に格上の左大臣、右側に格下の右大臣が立っていたとの記録があり、現在の国会議事堂も真ん中の中央塔から見て左側に、貴族院の流れをくむ参議院が配置されています。
 舞台の左側(客席から見た場合は右側)を上手と呼び、右側を下手と呼ぶのも、「左上位」のしきたりに基づいてのことだと言われています。
 和服の着方が「右前」となっているのも、襖(ふすま)や障子(しょうじ)のはめ方も襖や障子から見て左側を前にするのも、「左上位」が日常生活に浸透していた証しだそうです。

 西洋などの諸外国ではどうかというと、英語の”右”の「right」に、”正しい”という意味もあるように、日本の伝統礼法とは逆の右を上位、左を下位とする「右上位」が基本となっているようです。

 現在では、「右上位」が国際儀礼(プロトコル)として、国際舞台のマナーとして定着しているので、日本の伝統礼法の「左上位」は、あくまでも日本国内の雛人形などの伝統文化についての対処法のひとつとして、覚えておくぐらいが良いのでしょうか。

 現在の皇室も明治以降、この国際儀礼を取り入れているので、両陛下が公式行事で並ばれるときは、天皇陛下が右側、皇后陛下が左側に立たれるので、正面から見ると天皇陛下は左側となります。

 ちなみに、伝統礼法に準じた”京都雛”とは違い、全国的に普及してきている”関東雛”は、両陛下の並び方を模範としているため、国際礼儀の「右上位」となっているのだそうです。

 オリンピックの表彰台も、金メダリストを真ん中に、右側に銀メダリスト、左側に銅メダリストが並んでいます。正面から見ると、左側が銀で、右側が銅の国際礼儀の「右上位」です。

 ということで、結局、雛人形については、どちらでも"間違い"ではないということに・・・。
 
 結論としては、「左上位」の日本の伝統礼法と「右上位」の国際礼儀を理解した上で、自分がどちらを重んじるかを判断し、対処することが大事だということです。それでは。

投稿者:森ちゃまat 23:58| お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

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