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2013年03月10日

サッカー暴動の判決でも死者!

 このブログでも(2013/1/26付)ご紹介したエジプトで2012年2月1日に起こったサッカーの暴動事件の判決で、エジプトの最高イスラム法官である大ムフティーが、最終的な判断を下しました。これで判決が最終確定します。

 エジプト北部ポートサイドのサッカー競技場で、プロサッカーの「アル・マスリ」対「アル・アハリ」の試合終了直後に暴動が発生し、1,000人が負傷し、74人が死亡した暴動事件の裁判で、エジプトの裁判所は、宗教指導者大ムフティの判断を仰いだ上で、今年1月下旬に下された21人の死刑判決を支持し、5人を終身刑、ポートサイドの元治安責任者などを含む10人を禁錮10年、警官7人を含む28人を無罪とする判決を言い渡したとのニュースが入ってきました。

 この判決は地元ではテレビ中継もされていたとのことで、暴動事件のきっかけとなったプロサッカーの試合で対戦したポートサイドの「アルマスリ」とカイロの「アルアハリ」の双方のファンが、現地で暴徒化しているようです。

 カイロでは、この暴動で死亡した74人のうち大半がカイロの人気チーム「アル・アハリ」のファンだったこともあり、市内で抗議デモが起き、保健当局の発表では、2人が死亡、少なくとも15人が負傷したようですが、現場の活動家による情報では、デモ参加者ら3人が死亡したとの情報もあるとのことで、最悪な状況となっているようです。
 また、「アル・アハリ」のファンは裁判を前に警察に対し、警官9人を含む被告が無罪になれば、報復行動に出ると警告していたそうで、判決では警官9人のうち、サッカー場の門のカギを持っていた階級の高い警官2人には、事件発生時に門が施錠されていたことを理由として、それぞれ禁錮15年が言い渡されたものの、ほか7人は無罪となったこともあり、警官らの量刑が軽すぎると主張する一部のファンらが暴徒化し、警察関連施設やサッカー協会ビルに放火したとの情報も入っています。

 ポートサイドでは死刑判決に怒った「アルマスリ」のファンが、抗議デモを行なったほか、港では緩衝材のタイヤに火をつけたため、同市には軍部隊が出動して警戒態勢を敷いている事体になっているとのみーこと。
 また、国際海運の要衝であるスエズ運河に係留されていた複数の小型ボートのロープをほどき、船舶の航行を妨害しようとしたファンもいたようですが、運河当局はいまのところ、船舶の航行には支障を来たしていないと発表した模様です。

 ちなみに、今年1月下旬の被告21人への死刑判決後も、ポートサイドでは抗議デモが激化して38人が死亡、415人を超す死傷者が出ており、ムルシ大統領が「対話のみが安定と治安につながる唯一の道だ」と呼びかけ、沈静化を図っていた矢先の今回の判決確定だったようで、解決する道のりは、かなり困難な状況となっているようです。

 地域密着に位置付いているサッカー界の"底"の部分を垣間見るような今回の事件です。地域密着を目標としている日本サッカー協会も安易に考えている場合ではないようです。それでは。

投稿者:森ちゃまat 14:21| お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

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