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2023年6月14日

側頭動脈炎と後頭神経痛


側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は病理学的には巨細胞動脈炎と呼ばれる。いずれも高齢女性に多く激痛となることも多い。他の疾患を否定してからステロイドを使用し急激な改善をみれば凡そ診断確定出来ると考えている。程度は軽症のものがかなりあり本来の診断基準を満たさない不全型と思われる。側頭動脈炎は一側前頭から頭頂部にかけての痛みで浅側頭動脈に圧痛を認める。これまで浅側頭動脈と後頭動脈にも圧痛を認めた例を経験していてステロイド投与で改善した。後頭動脈は後頭神経と並走している。一方、後頭神経痛は頭痛の原因としてよく経験される。これは圧痛を確認し神経ブロックで改善すれば診断できる。最近、後頭部痛を訴え、圧痛を認めたため神経ブロックをした患者さんでブロックを行い、直ぐに頭痛が改善しない方があった。鎮痛薬を処方しても痛みは増強したため翌日再診し、やはり後頭神経部圧痛を認めた。これは後頭神経の圧痛でなく後頭動脈の圧痛の可能性があると考えなおした。浅側頭動脈の炎症を伴わない後頭動脈のみの炎症の可能性を考えた。後頭動脈炎という病名は存在しないが同部に起きた巨細胞動脈と診断してステロイド投与し改善をみた。疾患には不全型やバリエーションがある可能性を意識することは重要と思う。

投稿者:KUSUat 12:05 | 日記

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