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2023年9月11日

パーキンソン病アップデートセミナー 進行期PD


進行期パーキンソン病(PD)治療をどうするか 仙台西多賀病院 武田篤先生 PDは65歳より増加し65歳以上では1%罹患していると考えられています。全世界的な高齢化で高年齢になるほど増えますからPDパンデミックという表現も有ります。65歳以上のPDではデイスキネジア、姿勢保持の不安定、転倒、すくみ足などが増えてきます。高齢PDは亡くなる3年ぐらい前に認知症のでることが多くなります。抑うつ不安が出、嚥下障害、自律神経障害が出てきます。認知機能では幻覚や妄想が出てきます。PDやレビー小体型認知症(DLB)ではドーパミン系の低下に加えてアセチルコリン系、ノルアドレナリン系の低下も考慮しておく必要が有ります。嗅覚の障害が将来の認知機能の低下と関連有るといわれます。起立性低血圧はノルアドレナリンが関与しています。心筋MIBGの陽性所見は交感神経の機能低下を示唆し予後が悪い傾向が有ります。治療は初期ではL-dopaから始めます。L-dopaを遅らせても運動合併証が遅くなることは有りません。L-dopaの効果を延ばすことが有用であるがオピカポンは1日1回の服用でよく眠前にのめば朝での悪化をコントロールできると思われる。DLBは50%にアルツハイマー型認知症を合併する。PDは診断10年で50%、20年で90%が認知症になる。DLBは7割PDは34%にアルツハイマー型認知症を伴う。合併例は死亡率が上昇する。  

投稿者:KUSUat 00:46 | 日記

2023年8月6日

夏休み (3)



投稿者:KUSUat 00:21 | 日記

2023年8月1日

夏休み (1)



投稿者:KUSUat 12:31 | 日記

2023年7月19日

ペマフィブラートについて (2)


スタチン投与下の高中性脂肪血症介入治療の意義  国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科 片岡有先生  冠動脈疾患でLDL-Cの値を欧州では50mg/dL未満、日本では70mg/dL未満とすることが推奨されています。しかし70mg/dL未満に制御しても20%の患者でプラークの進展が認められました。またLDL-Cを下げていても中性脂肪が300mg/dL以上あるとプラークの進展がみられることがあります。中性脂肪と冠動脈プラークの関係は200mg/dL以上あればプラークの進展可能性が高くなります。LDLやカイロミクロンのレムナント(残り屑)は小さいので血管壁に取り込まれやすくプラークを進展させます。またレムナントは炎症を惹起します。LDL-Cの管理にもかかわらずプラークの進展があるのは残余リスクが存在すると考えなければなりません。HbA1cの高値、CRPの高値、中性脂肪の高値等あります。LDL-Cを下げるスタチン、エゼチミブは中性脂肪を10〜20%下げます。中性脂肪を下げるフィブラート系薬剤は中性脂肪高値に効果的です。ただし血中クレアチニン値を上げる作用があります。ペマフィブラート(パルモデイア)は中性脂肪を42〜43%下げ動脈硬化を防ぐApolipoprotein A-2を増やし、動脈硬化をおこすApolipoprotein Bを下げます。また炎症を抑えフィブリノーゲンも抑えます。高用量のスタチンは石灰化を促進しますがプラーク内の脂質が減少しプラークが安定することが関係していると思われます。罹病期間が10年以上になると薬剤効果は落ちるので効果判定のプロジェクトではそのような患者を除外した評価が必要と考えます。随時採血で中性脂肪200mg/dL以上は冠動脈疾患のリスクを上げていると考えるのが良いと思います。ペマフィブラートは使用し易く効果のある薬剤と認識しています。

投稿者:KUSUat 23:35 | 日記

2023年7月6日

レクチャー レビー小体認知症


レビー小体型認知症(DLB)について 東京医科歯科大学脳神経病態学 三條伸夫特任教授 現在認知症に関してはMCI(軽度認知障害)は経過観察で、認知症に至って治療が開始されます。ただこれまで症状が出現してから根本的治療をしてみて効果がないことが分かってきました。根本治療はMCIまたは前駆期より開始する必要が有ります。アルツハイマー型認知症(AD)ではレカネマブ等が使用できる状況になってきました。MCIもDLBではADと異なります。記憶障害は目立たないことがありRBD(レム睡眠行動障害)、自律神経障害、嗅覚障害、視空間障害、パーキンソン症状が特徴として考えられます。このためMBI(mild behavial impairment)という表現がDLBの場合適切と思われます。 DLBの診断では(1)注意力の低下、認知の変動(2)繰り返す幻視(3)RBD(4)パーキンソニズムの中で二つ以上該当すれば確定します。またこれらの項目の一つとバイオマーカーのDAT-SCAN(感度75%〜95%特異度15%〜95%),心筋MIBG(感度70%〜95%特異度90%〜98%),終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)でのRBDの所見の一つ以上で確定診断することも出来ます。またBLDは向精神薬に対して過敏性があり転倒、失行、一過性無反応、自律神経障害を誘発するリスクがあります。CT,MRIで側頭葉内側面は比較的保たれます。ただしADを合併することが有ることを忘れてはいけません。SPECTでは後頭葉の血流低下を認めます。後帯状皮質の血流は温存されこれをCingulate Island Signと呼び特徴的であるとされます。治療ではドネペジル3mgから始め効果良ければ増量せず続けます。ADもDLBもMMSEで一年間で4点以上低下するようであれば薬の増量を考えます。パーキンソン症状については基本はレボドパを少量より開始します。ドパミンアゴニストは精神症状を悪化させることがあり使いません。ゾニサミドは副作用が目立たず使い易い薬剤と考えています。

投稿者:KUSUat 23:29 | 日記

2023年7月3日

セミナーHIF-PH阻害薬の適正使用


慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血治療 兵庫医科大学循環器・腎透析内科学 倉賀野隆裕教授 CKDが原因の貧血では腎での造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)の産生低下によるものとEPO以外の原因によるものがあり鉄代謝の異常が考えられます。鉄欠乏性貧血では血清鉄が低下し同時にフェリチンも下がります。一方鉄利用障害では血清鉄は充足されておりフェリチンは正常または増加しています。CKDにおいては多くの患者で鉄利用障害を伴うことが分かっています。小児のCKDの統計ですがステージが悪化するほど鉄利用障害の率が高くなります。Hepcidinは肝臓で産生され鉄過剰で増加し鉄の低下で減少します。 過剰な鉄は脾臓、肝臓に沈着します。高フェリチン群は10年から20年後に心血管障害の形などで生命予後が悪くなる傾向があります。細胞死にはネクローシス、アポトーシスなど様々な形がありますが鉄代謝異常によるフェロトーシスという概念も提唱されています。WHOでは鉄欠乏、鉄過剰の診断ではフェリチン値を使うことを推奨しています。またTSAT(トランスフェリン飽和度)と組み合わせて使い診断治療精度上げることができる。低酸素誘導因子(HIF)はVEGF(血管内皮増殖因子)、EPO等の発現を誘導します。HIF-PH(プロリン水酸化酵素)はその物質を分解する酵素で、このHIF-PHを抑えるのがHIF-PH阻害薬です。現在2種類の薬剤が腎障害に伴う鉄利用障害による貧血の治療に使われています。

投稿者:KUSUat 23:11 | 日記

2023年6月14日

側頭動脈炎と後頭神経痛


側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は病理学的には巨細胞動脈炎と呼ばれる。いずれも高齢女性に多く激痛となることも多い。他の疾患を否定してからステロイドを使用し急激な改善をみれば凡そ診断確定出来ると考えている。程度は軽症のものがかなりあり本来の診断基準を満たさない不全型と思われる。側頭動脈炎は一側前頭から頭頂部にかけての痛みで浅側頭動脈に圧痛を認める。これまで浅側頭動脈と後頭動脈にも圧痛を認めた例を経験していてステロイド投与で改善した。後頭動脈は後頭神経と並走している。一方、後頭神経痛は頭痛の原因としてよく経験される。これは圧痛を確認し神経ブロックで改善すれば診断できる。最近、後頭部痛を訴え、圧痛を認めたため神経ブロックをした患者さんでブロックを行い、直ぐに頭痛が改善しない方があった。鎮痛薬を処方しても痛みは増強したため翌日再診し、やはり後頭神経部圧痛を認めた。これは後頭神経の圧痛でなく後頭動脈の圧痛の可能性があると考えなおした。浅側頭動脈の炎症を伴わない後頭動脈のみの炎症の可能性を考えた。後頭動脈炎という病名は存在しないが同部に起きた巨細胞動脈と診断してステロイド投与し改善をみた。疾患には不全型やバリエーションがある可能性を意識することは重要と思う。

投稿者:KUSUat 12:05 | 日記

2023年5月21日

脳神経外科コングレス プレナリーセッション


良性腫瘍 先ず下垂体腺腫がありますが、現在は腺腫として扱うのでなく腫瘍とみる考え方に代わっています。Pituitary Neuroendocrine Tumor(PitNET)という呼び方になっています。腫瘍は偽被膜に囲まれて存在することが約5割で、これまで被膜内の腫瘍摘出が行われていましたが被膜内にも腫瘍細胞がその4割に認められます。被膜も摘出することで内分泌的寛解率が高くなります。また海綿静脈洞内側壁にも6割で腫瘍細胞が認められるのでこれも摘出するのが良いのですが出血で困難になることがあります。また海綿静脈洞内の腫瘍を摘出するのはリスクを伴いますので例外的な熟達者しか出来ないと思います。プロラクチン産生腫瘍は薬物療法が第一選択でカフェルゴットが使われますが根治を目指すのか症状をコントロールするのか目標を決めて使用することが重要です。2年以上5年は使用します。この薬剤は病的賭博、性欲異常亢進をきたすことがあることを念頭におき使用します。心弁膜症はパーキンソン病での使用量に比し少量ですので起きることは少ないと思います。この腫瘍は出産、閉経でサイズを小さくする事が有ります。成長ホルモン産生腫瘍や甲状腺刺激ホルモン産生腫瘍なども薬物療法が考えられています。 頭蓋咽頭腫は全頭蓋内腫瘍の3.5%ですが発病は小児期と成人期の2峰性を示します。視力障害や水頭症には手術が第一選択となります。最近は内視鏡下経鼻手術が中心で、取り残しは定位的放射線療法(SRS)で対処します。

投稿者:KUSUat 22:55 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0)

2023年5月9日

パーキンソン病の対応


QOLを考慮したパーキンソン病(PD)治療 仙台西多賀病院 武田篤先生 PDは65歳から急増する疾患で、現在の世界的な高齢化の中でパンデミックな拡大をみせています。高齢者のPDは高齢発症の患者及びPDのlate stageにある患者を診ることになります。 運動症状がより重篤で進行が早い。すくみ、姿勢保持障害、転倒、嚥下障害のリスクが高い。抑うつ不安などの情緒障害が目立つ。認知機能障害があり幻覚・妄想が増加する。以上のような特徴があります。抑うつ、不安とADL障害が特にQOLに影響します。MAOB阻害薬ラサギリンは不安、抑うつ、アパシーにも効果します。ただ、うつ症状が強い時はSNRIを使うのがよいのですが、この時はMAOB阻害薬は併用禁忌です。認知症のある時アリセプトを使いますが同時に便秘、疲労感、めまいにも効果を示します。運動はPD治療に効果があり体操、ダンス、武道などもお薦めです。 

投稿者:KUSUat 12:30 | 日記

2023年5月1日

脳卒中学会シンポジウム(2)




シンポジウム抗血栓薬の使い方 非心原性脳梗塞において急性期の再発が多く直ちに抗血小板薬の投与が望ましい。効果発現時間はアスピリン30分〜60分クロピドグレル3日〜7日シロスタゾール3時間といわれ、アスピリン初回投与160mg〜300mgを開始する。効果を高めるため更にもう一剤使うDAPT(2種の薬剤による抗血小板療法)を行う。ただし3ヶ月以上の使用は効果より出血のリスクの方が上まわることが分かってきた。またDAPTは長期では単剤にまさるわけでなく出血リスクを考えると中止し単剤にすることが望ましい。ただ不安定プラークに対してはDAPTは長くする必要が有る。シロスタゾールは出血を増やさないことが知られている。シロスタゾールは抗血小板作用の他血管拡張や降圧作用もあわせもっている。クロピドグレルは不応性の人がいるが新たに出たプラスグレルはそれを考慮する必要がない。データの蓄積により選択肢が広がることになると思われる。心原性脳血栓症で急性期の抗凝固療法でワーファリン、DOACは効果は同等であるがDOACにおいて頭蓋内出血や死亡率が少ない。また発症3日目までと4日以後の開始で安全性は変わらない。またDOAC下でのTPA療法は可能である。慢性期の抗血小板薬使用は頭蓋内出血、消化管出血のリスクを上げるが注意が必要である。抗血栓症薬はアミロイドアンギオパチーや頭部打撲、活動性出血の場合は使用不可である。ワーファリンはDOACの3倍の出血リスクがあると言われている。DOACの使用も腎機能や年齢等を考慮し投与量の調節を行い出血イベントを抑える努力がなされている。

投稿者:KUSUat 09:01 | 日記

2023年4月16日

脳卒中学会シンポジウム




シンポジウム クラゾセンタン時代のSAHの治療
クモ膜下出血(SAH)は約7割が女性ですが近年は高齢化の進展で高齢者が増えています。SAH後4日から14日に起きてくる遅発性脳血管攣縮は脳主幹動脈の50%以上の狭小化をもって判定しています。症候性脳血管攣縮は予後不良因子です。末梢の動脈に関しては画像での判定が出来ませんが症状発現には末梢での攣縮が重要な役割をしていると思われます。薬剤による脳血管攣縮治療は1988年からオザグレル1995年からファスジルが使えるようになっています。今回再評価の試みをしましたが決定的な効果とは言い難いという評価でした。エンドセリンは日本での研究で見つけられた物質で強力かつ持続的な血管収縮物質で血管内皮細胞で産生されクモ膜下出血後に上昇します。今回取り上げた脳血管攣縮治療薬クラゾセンタンはエンドセリンA受容体に対する選択的阻害薬です。クラゾセンタンは昨年から使用可能となりました。恐らく微小循環障害に効果があると考えられます。使用非使用を比べ明らかな効果を示しましたがクラゾセンタンは水分を体内に保持する作用が強く、従来のように多めの補液や標準的補液でも胸水、腹水、肺水腫を生ずることがあります。胸水、肺水腫は20%の患者で遭遇しております。そのため全身管理にはかなりの労力が必要です。補液は絞って0〜500ml/日に減らすこともありますし、これまでは禁忌と考えられていた利尿薬フロセミドを使用し危機を脱することもあります。クラゾセンタンアは遅発性の虚血症状や脳梗塞を有意に減らしmRSが0〜2の割合が8割という効果を示しています。

投稿者:KUSUat 18:41 | 日記

2023年4月3日

パーキンソン病の治療シンポジウム2023


パーキンソン病(PD)と睡眠異常 国立精神・神経医療研究センター 皆川栄子先生 PDにおける睡眠の異常はその進行に関係する。PDにより睡眠異常は進行し睡眠異常によりPDは進行するという双方向性が考えられる。患者の98%に経過中になんらかの睡眠異常が認められる。夜間不眠が最多で50〜90%に出現する。日中の過剰な眠気、レム睡眠行動障害、レストレス ェッグズ症候群、周期性四肢運藤障害、睡眠時無呼吸症候群などである。夜間不眠の特徴は入眠困難より睡眠維持の困難が多い。原因も多岐にわたりPDの病理からの他、薬剤の副作用の場合もある。またPD患者は主観評価と客観評価にずれがあり過少評価する傾向がある。中途覚醒が多いとアルツハイマー型のリスクが1.5倍になると言われる。慢性不眠でPD発症の率が上がり、睡眠時無呼吸症候群でも上昇する。その両者を伴う場合は更に発症や進行のリスクが高くなる。中途覚醒が少なく良い眠りができると病気の進行が遅くなるのではないかと思います。また運動も病気の進行を遅らせることが分かっています。 

投稿者:KUSUat 17:06 | 日記

2023年4月1日

パーキンソン病セミナー


進行期のパーキンソン病の対応 インスブルック大学脳神経内科 Werner Poewe教授 パーキンソン病が進行すると運動能力の変動や不随意運動が問題となってきます。薬の効果が減少したり、効果発現が遅れたり効かなかったりします。早朝に効果が切れたり、効いたり効かなかったりするのです。不随意運動は効果時の舞踏様運動やbiphasic dyskinesias,効果の切れている時のデイストニア等です。最も重要なのはL-dopaの動きです。年齢、投薬量、罹病期間が関係します。L-dopaは半減期が短く数時間内です。このため血中濃度が上下します。患者さんが辛いと思うことの一番に症状の変動があります。L-dopaの濃度を一定に保つことが良いのですが病気が進むにつれて様々な問題が出てきます。?み込みの障害、胃の動き停滞、小腸細菌叢の過剰、小腸におけるアミノ酸による吸収妨害などがあります。L-dopaを代謝するCOMTを抑制するCOMT阻害薬はエンタカポン、オピカポンがありますが後者が副作用が少なく効果も良好であると考えています。オピカポンはL-dopaの血中濃度の上下をなだらかにし効果時間を延長します。また日に一回の服用で一日をカバーします。病気が進行した際L-dopaに何を追加していくかについては私はドパミンアゴニストは副作用の点から使いづらくオピカポンやMAO-B阻害薬を事情に応じて使います。

投稿者:KUSUat 16:01 | 日記

2023年3月6日

内科学会北陸地方会


内科学会北陸地方会 興味のあった演題をまとめてみます。 縫合閉鎖された電動ノコギリによる創部より全身性破傷風に 11日目より開口障害を自覚し14日目の診察では頸部と四肢の筋緊張亢進を認め破傷風を疑われた。集中管理下にテタノブリン、破傷風トキソイド、ペニシリンG1800万単位/日開始した。創部は解放し嫌気性状態を解除した。20日目より呼吸困難になり人工呼吸器管理とした。人工呼吸器は20日間使用し離脱できた。縫合された閉鎖創を伴う開口障害では積極的に破傷風を疑い早期から治療を開始すべきである。また受傷日の時点で破傷風トキソイドを打っておくことが良いと思われる。 ウエルニッケ脳症(W)とMarchiafava-Bignami病(MB)の症例 ウエルニッケ脳症は大量飲酒、炭水化物のみの食事、ビタミンB群の入らないブドウ糖の点滴の継続などで起きるビタミンB1欠乏により引き起こされる。意識障害や眼球運動障害、記銘力障害が出現する。MBはイタリアにおいて赤ワインを大量に飲む人に生ずる神経疾患で日本でも焼酎を多飲する人で見られるという。意識障害や失行が見られビタミンB1欠乏や葉酸の不足が関与している可能性が言われている。MBは画像検査で脳梁の脱髄病変を確認することで診断される。WとMBは合併することがあり、どちらもビタミンB1がかかわっていることになる。また大量飲酒は橋中心髄鞘崩壊をきたす原因でもある。橋中心髄鞘崩壊は低ナトリウム血症を急速に補正する際にも生ずるので注意が必要です。  βブロッカー点眼薬による洞不全症候群  緑内障治療にβブロッカー点眼液が使用されるが恐らく鼻涙管を通じて鼻腔内へ薬剤が流れ吸収され洞不全症候群が生じたと考えられた。著明な徐脈の場合緑内障ではアトロピンは原則禁忌なのでシロスタゾールを使用して対処した。高度徐脈では一時的ペースメーカー使用も考慮すべきと思われた。

投稿者:KUSUat 14:43 | 日記

2023年3月5日

生涯教育講演 内科学会 SGLT2阻害薬


心不全標準治療薬の革新(SGLT2阻害薬)金沢市立病院循環器内科 村井久純先生 人口は減少傾向だが高齢人口は増えており心不全患者数も増えている。急性心不全は対応が改善しているが慢性心不全は治療が十分でない。ARNI(angiotensin receptor neprilysin inhibitor)の出現により心不全の治療が進化していますが更に糖尿病の治療薬として新たに登場してきたSGLT2阻害薬が心不全腎不全にも効果があるということで注目されています。慢性心不全の70%に慢性腎障害がありSGLT2阻害薬の使用20ヶ月頃より心腎ともにコントロールと比べ予後が改善してきます。機序は利尿作用や血圧降下作用が考えられますが、既に利尿剤降圧薬が使用されているのですから他の機序も考えなければなりません。SGLT2阻害薬は交感神経抑制効果を持ち他薬剤にはない中枢神経系においても抑制効果を発揮することが特徴です。βブロッカーは末梢レベルで作用し中枢神経系には影響しません。交感神経活動を筋交感神経活動測定(MSNA)で評価するとSGLT2阻害薬の交感神経活動抑制効果は心不全例で顕著でした。また静脈還流圧の上昇を抑制し過剰な容量負荷を抑えます。また他の薬剤では予後は改善するものの運動耐容能は改善しないのですが、この薬では改善作用を期待できるため生活の質の向上が考えられます。

投稿者:KUSUat 23:09 | 日記

2023年2月19日

ペマフィブラートについて


トリグリセライド管理(腎機能低下やスタチン併用)りんくう総合医療センター山下静也先生 トリグリセライド(TG)を下げる薬剤はこれまでスタチン併用は原則禁忌、腎機能低下例では使用が制限されていました。今回新しく出てきたペマフィブラート(パルモデイア)は主に肝臓で代謝され腎機能に殆んど影響しません。スタチンとの相互作用がなく併用が可能です。食後高脂血症・HDL機能を改善します。肝機能はむしろ改善し、またインスリン抵抗性、糖代謝を改善します。ペマフィブラートはこれまでのフィブラート系とは異なります。CKDでは高TG血症、低HDL-C血症粥状動脈硬化を進行させるため適切な治療が必要となります。高TG血症でレムナント高値、small dense LDL高値、HDL-C低値が動脈硬化を惹起します。カイロミクロンは関与せずVLDL高値は僅か関与します。高TG血症の治療は生活改善です。カロリー制限、有酸素運動、アルコール制限、菓子、果物、穀類、糖含有飲料、飽和脂肪酸の多い食べ物をへらす。 魚の摂取を増やす等です。薬剤ではフィブラート系薬剤、ペマフィブラート、ニコチン酸誘導体、EPA,EPA/DHA等があります。中性脂肪の上昇で冠動脈疾患やCKDのリスクは高まります。

投稿者:KUSUat 20:00 | 日記

2023年2月15日

パーキンソン病


パーキンソン病 愛知医科大学病院 パーキンソン病総合治療センター 斎木英資教授 パーキンソン病の症状はこれまで運動症状(振え、固縮、動作緩慢、歩きづらさ)を中心に取り上げられてきました。実際のパーキンソン病は全身の病気であり自律神経症状(便秘、頻尿等)精神症状(うつ、不安、積極性の低下)その他(脱力感、疲労感、痺れ感)などを伴います。運動症状が出現する前、前駆期は20年以上のこともあります。前駆期ではふらつき、便秘、嗅覚障害、レム睡眠行動障害(RBD)が出現してきます。 運動症状出現から進行期に至る間の早期では頻尿や立ちくらみがでてきます。やがてすくみ現象も出るようになり進行期へと入っていきます。 認知機能低下も伴ってきます。前駆期は非運動性症状で捉えにくい期間です。特に排泄に関連する事象は訴えとして出てこないことも多く、こちらから問いかけるようなことも必要です。90%が65歳以上の発病です。それ以前の発病は若年性パーキンソン病といわれ遺伝性の可能性があります。

投稿者:KUSUat 00:07 | 日記

2023年1月8日

年の初めに(2)BPPV


良性発作性頭位眩暈(BPPV)の予防と治し方 K式減衰法について BPPVは本来は耳鼻科領域の病気です。急な眩暈は脳梗塞、脳出血、脳循環不全でも出現するため耳鼻科領域の眩暈との鑑別が重要になります。メニエル病、突発性難聴では難聴を伴うため耳鼻科領域と判断できます。前庭神経炎は難聴がないので判断が難しい時があると思います。以上の病気では眩暈は持続的ですぐには改善しない傾向にあります。BPPVは耳石膜の障害で起こるとされますが他の眩暈と反応が違います。それは頭部を急にチョット動かすと眩暈が誘発され動かし続けると改善するという特徴です。また動きから眩暈が起きるまで少し時間がかかります。これを潜時といいます。そして動き続けると眩暈は次第に減少してくるのです。これを減衰現象(疲労現象)といいます。また頭位変換(頭を動かす)の機会が多いと治癒が早くなるという傾向があるのです。つまり頭を動かせば眩暈が治っていくのです。しかし頭を動かそうとすると眩暈が出現するという事情で、減衰現象を得るまでに関門があります。眩暈を起こさずに減衰現象を獲得する方法がないか考えてきました。10年前、頭を動かす前に細かく頭を動かし次第に大きく動かすようにすると眩暈を起こさず減衰現象をえることが出来ることを見出したのです。そして患者さんには実際にやってみて説明しました。5年前より、絵入りのパンフレットを作製し患者さんに渡すようにしました。この方法は予防や治療、他疾患との鑑別に使えます。少し頭をひねって「K式減衰法」と命名し、広く利用されるよう今年は働きかけようと考えています。

投稿者:KUSUat 22:48 | 日記

2022年11月26日

セミナー 伝播する認知症


伝播する認知症 金沢医科大学脳神経内科 浜口毅教授 伝播する認知症にはプリオン病があります。プリオンはタンパク質からなる感染性因子のことです。人では孤発性クロイツフェルドヤコブ病(CJD)が76%,遺伝性CJDが21.3%,獲得性のものが23%です。獲得性ではクールーが知られ、これはパプアニューギニア地域での死者の脳を女性子供が食べることにより感染発症するプリオン病です。医原性では40年近く前に脳外科手術で使われた人乾燥硬膜に由来するものがあります。プリオン以外では脳アミロイドアンギオパチー(CAA)を生ずるAβが注目されています。詳細にみるとCAAは65歳以下で10〜58%に見られ90歳以上では74%に見られます。アルツハイマー病では80〜90%にみられます。CAAは出血が多く微小出血が多発したり血腫を生ずることもあります。Aβの伝播から生じるものはaquiered CAAと言われますが、動物実験で伝播が起きることが実証されています。

投稿者:KUSUat 21:47 | 日記

2022年11月19日

神経内科中部地方会 帯状疱疹


帯状疱疹は幼小児期に罹患した水痘ウイルスが神経系内に潜んでいて免疫力が低下した時増殖し末梢神経や時に中枢神経系を障害することで発症する。多くはデルマトーム(脊髄のレベル別に分布する神経支配領域)に一致した発疹群で診断することが多い。しかし発疹を生じないもの(zoster sine herpete)もあることは念頭に置かなければならない。多くは感覚神経を侵すが運動神経に至る場合がありsegmental zoster paresisといわれる。頭部においては顔面神経麻痺を生ずるが抗ウイルス薬とステロイドの早期投与が必要である。感覚神経では頭部は三叉神経第1枝領域に好発し角膜の障害が最も重大な障害である。また後頭神経に出る場合は後頭神経痛と間違われることがあるので経過観察が必要である。運動麻痺は皮疹の後に出てくることがあるので皮膚病変のみに注意を向けているだけだと発見が遅れることがある。適正に抗ウイルス薬とステロイドの使用が必要である。今回の神経内科中部地方会でも2施設から発表があった。最近、腎機能低下でも使い易いという理由でアメナメビルの使用が多くなっているがこの薬剤は髄液移行性が低く神経合併症が増える原因となっている可能性が高い。最近の朗報ではこれまでの帯状疱疹水痘ワクチンの効果を大きく上回る新たなワクチンが出てきました。帯状疱疹は弱り目に祟り目となるので新たなワクチンは期待できますが高額ではあります。80代後半の方で希望される方があり一回目を打ちました。

投稿者:KUSUat 00:32 | 日記

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