2014年10月05日
めまいの話(3) 椎骨脳底動脈循環不全症
椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)は見逃してはならない病態です。 眩暈以外の神経症状を伴わないことが多く、眩暈が治るとそのままになってしまうからです。 VBIは脳卒中の前駆症と考える必要があります。 椎骨動脈、脳底動脈は特異な構造を有するため動脈硬化を来たし易く、また動脈硬化の影響を受けやすいのです。 脳幹の平衡感覚の重要部位は脳底動脈からの血流を受けますが細い動脈の最終にあり虚血に脆弱です。 脳底動脈の分枝は内耳にも血流を供給しますが、動脈硬化により内耳機能を不安定にします。 60歳を越えてからの眩暈は明らかに耳鼻科疾患でなければ血圧測定、コレステロール値、血糖値の検査や頸動脈エコー検査などで動脈硬化の可能性を確認する必要があります。そして動脈硬化の程度が強い時はMRA検査で脳血管、頸部血管の状態を診ておく必要があります。 治療は脳循環改善剤、降圧剤、抗コレステロール薬(スタチン製剤)で、程度の強い場合は血栓の予防薬を使うこともあります。
投稿者:KUSUat 12:32| 日記