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2016年01月03日

五苓散で治癒した小児帽状腱膜下血腫




帽状腱膜は頭皮と頭蓋骨の骨膜の間にある強靱な膜で前は前頭筋、後方は後頭筋へとつながっている。
帽状腱膜下血腫はこの膜と骨膜の間に生ずる血腫で乳小児期の頭部外傷に伴って形成されることが多い。または吸引分娩の際の陰圧で生ずることがある。
頭蓋外に形成されるため神経系に影響を及ぼすことはない。しかし、体重に比較して大きいと貧血の原因になる。特に新生児では影響が大きい。ショックに陥ることもあるので注意が必要である。また安易に抜いて量をへらすと再貯留することがあり危険な状態に追い込んでしまう可能性があるので慎重でなければならない。
これまで治療は血腫が液状であれば注射器で抜いて圧迫包帯をすることもあったが、うまく圧迫できなかったりできても再貯留することがあった。
慢性硬膜下血腫の再発予防には五苓散が使用され良い結果が報告されている。帽状腱膜下血腫では桂枝ブク苓丸で治癒した報告がある。この両者に共通するものは桂皮とブク苓であるが、ここでは使い慣れた五苓散を使用してみた。
患児は1歳8ヶ月の女児で1週間前に50センチの高さの台からジャンプしてコンクリートの床で頭部を打撲した。4日目に洗髪の時右頭頂部のぶよぶよした腫れに気付いて受診された。CTで頭蓋内に異常は認めなかったが頭皮下に貯留するものを確認した。
帽状腱膜下血腫と診断し、五苓散2.0g/日(分3毎食前)をお湯で溶いてのませてもらった。開始4日でかなり消退し1週間でほぼ治癒した。

投稿者:KUSUat 22:36| 日記