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2016年09月01日

認知症対応力向上座学


認知障害の鑑別 石川県立中央病院 神経内科 松本泰子先生 診断の限界を意識しての診療になります。それは経過の一断面しか見ていないことや、画像検査は補助検査に過ぎないことです。変性疾患は多くは病理所見による疾患概念なのです。 治療でいうと神経内科では抗認知症薬そのものの効果の限界があります。行動心理症状に関する治療技術の不足もあります。基幹病院の神経内科は以上のような事情があります。 鑑別診断は暫定的診断から出発していることを念頭に置き、その後の治療が進められることとなります。 本来の認知症とまぎらわしい偽性認知症、一過性全健忘、従来のヒステリーの中に入る解離性健忘、何らかの原因による譫妄状態などがあります。 認知症状を呈する甲状腺疾患の橋本脳症(ステロイドが効果する)、肝不全からくる肝性脳症、ビタミンB1欠乏のウエルニッケ脳症、クロイツフェルドヤコブ病なども頻度は多くないのですが鑑別の範囲です。 老人に起きるてんかんは若年者と同等な数となっています。発作型は精神運動や小発作のような形のことが多く認知症と間違われてしまうことがあります。この場合は脳波は有力な検査手法になります。 アルツハイマー病で画像上で海馬は必ずしも目に見えた変化を呈するわけではありません。暫定的にでも診断し治療しながらも診断を見直すことのできるスタンスを維持することが大事です。

投稿者:KUSUat 17:25| 日記