<< 前のエントリトップページ
2017年06月01日

地域医療連携講演会 食べること生きること


最後まで口から食べられるために ふれあい歯科ごとう 代表五島朋幸先生 私が訪問歯科診療を始めたのは20年前で、訪問診療の内科の先生に要望されたのがきっかけです。当時は歯科の訪問診療は日本には殆どありませんでした。実際に始めてみると口腔内の管理や摂食に関してなにもなされていないのが現状でした。始めてしばらくして、口腔ケアをすると寝たきりの状態の人でも誤嚥性肺炎を予防でき予後が改善されるという報告が発表され、そのことが訪問歯科を進める追い風となりました。きちんと食べられる状態になることは栄養状態の改善はもちろん、非経口での栄養摂取に比べ腸由来の免疫能を高めることで生命予後の改善に大きく影響します。歯科は先ずより良い口腔環境を維持すべく義歯を調整したり口腔内の手入れを指導します。また食べる機能が低下している状況を分析し対策をたてます。口から食べると言うことは歯で噛んで舌で奥に送り飲み込むことです。咀嚼は口に入った物を認知(口腔認知)することでスイッチがはいり、噛んで唾液と混ざった食べ物を頬や舌の動きで飲み込める形にする(食塊形成)ことです。この食塊を飲み込んで胃に送ることが嚥下です。嚥下は口腔認知、嚥下反射、嚥下力、首特に僧帽筋の柔軟性、呼吸のコントロール、正しい姿勢などが関与します。この事を考え条件を改善することが必要です。咀嚼の障害か嚥下の障害かを判定(食形態判定)しなければなりません。前者では口に溜めなかなか飲み込みません。後者はむせる傾向にあります。前者の障害はとろみ無し、後者はとろみ有り、両方の障害はペーストゼリーの経口とします。口から食べることで元気が出て生活の質が上がります。癌治療で末期においても経口摂取を部分的であってもできれば患者さんは闘病のつらさを減らすことができます。

投稿者:KUSUat 23:19| 日記