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2017年09月03日

教育講演 内科学会


慢性腎臓病(CKD)の食事療法  新潟大学保健管理センター 鈴木芳樹教授 CKDの食事療法はタンパク質とナトリウム(食塩)の制限を中心にカリウム、リンの適正量の設定である。エネルギーは摂取量とともに三栄養素のバランス設定が必要である。通常生活ではタンパク質(13〜20%)脂質(20〜30%)炭水化物(50〜65%)と言われている。摂取量は最近では年代別の目標BMIを達成する方向になっている。タンパク質制限をすると比率が変わるが脂質と炭水化物の適正比率については一定の見解がない。タンパク質制限は透析導入までの期間延長にはエビデンスがある。腎機能低下抑制には非糖尿病CKDと?型糖尿病腎症で有効である。タンパク質制限は代謝性アシドーシスの是正、摂取ミネラルの制限にもなる。ただフレイル、サルコペニアなどの栄養障害のリスクを上げることも考慮しておく必要がある。リンはCKDのリスク因子であるが卵白が最も低く、乳製品が最も高い。食塩の制限も重要であるがCKD治療中の低ナトリウム血症には注意が必要である。ミネラルの代謝異常は生命予後に対しても独立した危険因子としてのエビデンスが集積されつつあり、適正な食事指導が重要である。実際上は個々の症例で柔軟に対応する必要がある。  

投稿者:KUSUat 20:05| 日記