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2017年12月07日

日常診察での不思議なこと


日常診療をしていると奇妙なことに気付くことがある。それは本来頻繁には出会わない疾患に何度も遭遇してしまうことがあるのです。以前、勤務医であった時、頭部打撲による小脳内血腫の患者を数週間の間に何人も手術したことがあった。小脳の容積は脳全体の1/10以下で構造的にも脳挫傷をきたしにくいはずです。小脳出血が起きる条件は後頭部の極めて強い打撲です。その際はレントゲン写真で後頭骨に縦に骨折線を認めることが多いのです。単純に確率的に考えるとあり得ないこともあるということで、これは物事の発生のゆらぎから起きることなのでしょうか。最近の奇妙なことはパーキンソン病の患者がよく見つかってくることです。この原因として(1)検査法が進化したことによる(2)高齢化で患者の数がふえた(3)潜在的患者はかなり多いなどが考えられる。(1)でRI(ダットスキャン)検査ができるようになったことが大きい。(2)では脳内のドーパミンは加齢と共に低下していくので超高齢層ではかなり頻度が高くなるのではないか。(3)では、これまで老人の転倒はロコモティブシンドローム、フレイル、運動不足などに原因を求めていたが実はパーキンソン病の病態が関与しているのではないか。パーキンソン病を疑い検査してみる必要がある。通常使える検査としてダットスキャンが開発されたが、感度と特異度が高ければ試す価値があるということになる。擬陽性が多いとすると検査に騙されていることになるのでいづれにせよ実際の診療では一人一人よく経過を追う必要があると思われる。

投稿者:KUSUat 19:44| 日記