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2019年02月07日

北陸神経疾患研究会 金沢




アルツハイマー病の病態、診断、治療 札幌医大神経内科 下濱俊教授
認知症では約7割がアルツハイマー病1割5分が脳血管性認知症で5分がレビー小体型認知症やパーキンソン病認知症で残りが前頭側頭型認知症や正常圧水頭症などです。症状の評価には簡易法では長谷川式認知症スケール(HDS-R)やMMSEがあり、詳細評価ではWAIS-Rが使われます。中核症状として記憶障害がありますが近似記憶(数分〜数時間以内)やエピソード記憶(だれ、いつ、どこで、なにを)の障害の有無、程度の評価は重要です。アルツハイマー病の診断では髄液中のAβタンパクやリン酸化タウ蛋白の増加を測定することが診断確定に有用であるが侵襲的手技が必要なので一般化するには制約がある。もし血液でできればかなり有用なツールとなる。これは現在、島津製作所で実用化がめざされている。またPETを使ったアミロイドやタウの画像化があるが、費用や処理能力の縛りが有り、対象を絞って行う必要がある。治療には現在2系統4剤の薬が使われているが、試してみて効果のない時は他剤への変更も考えながら治療を進めるのが良いと思います。しかし根本的な治療にはAβやタウを除くのが良いと考えられてきましたが期待される効果が上げられていません。この理由には方法論に誤りがあるのか、または変性が起きてしまってからでは遅いという考えがあります。実際の病変の始まりは発症のかなり以前であるからです。早期に発見し予防できる可能性はあると思われます。日常的な予防では運動、中年では血圧コントロール(高齢では下げすぎない)、糖尿病予防、頭部外傷(ボクシング、アメフト、フットボール)をさけ、教育を高めることが予防になるようです。

投稿者:KUSUat 23:42| 日記