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2019年10月01日

日本医師会かかりつけ医機能研修 (2)


感染対策(2)石川県医師会 高田重男副会長 医療現場では主な感染源として病室の高頻度接触面(ドアノブや手摺等)、空気および空調設備、水および水回り、トイレ、植物(生花に付いている緑膿菌)医療廃棄物があります。日常の清掃が重要でよく手が触れるベッド柵、床頭台、ドアノブ、スイッチ、手摺は頻回に清掃します。床はホコリやチリが無いよう清掃します。使用する消毒薬は一般細菌にエタノール、ウイルスにはエタノールや次亜塩素酸ナトリウムを使い、芽胞(クロストリジウム等)は徹底的な清掃で物理的に除去します。消毒薬使用(毒性、引火性等)は環境を考え使います。 臓器別の注意点では、頭頸部では開口障害で片側の軟口蓋の張り出しがあれば扁桃周囲膿瘍、極端な咽頭痛と嚥下困難で急性喉頭蓋炎、後頚部痛と嚥下障害で咽後膿瘍、非対称の頸部腫脹と圧痛で感染性血栓性静脈炎を見逃さないようにします。 原因不明の発熱では聴診し感染性心内膜炎の8割以上で認める心雑音の有無をチェックします。椎体椎間板炎や骨髄炎でも血液培養が有用です。骨髄炎は糖尿病に注意です。 伝染性膿痂疹ではMRSAが問題になっています。蜂窩織炎は高齢者でリスクが高く免疫低下、皮膚の脆弱性、浮腫が関係します。壊死性筋膜炎は生命に関わります。腹腔内感染症はフォーカスが分かりにくく胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、憩室炎、子宮留膿症を考慮します。 流行性の嘔吐下痢症ではノロウイルスが重要で貝の食中毒で発症し人から人へ感染します。経口、飛沫、接触感染し特に嘔吐物の処理を徹底しないといけません。尿路感染で膀胱炎では耐性菌(ESBL産生大腸菌)が問題になっています。腎盂腎炎は嘔気嘔吐、意識障害で発症することがあります。 薬剤耐性についてはいわゆる感冒に対して60%に抗生物質の使用がされているとのデータがあり不必要な使用は避けるべきです。 インフルエンザは風邪と比べ全身症状が強く早期から咳が目立ちます。ただ発熱の無い場合もあります。診断に使われる迅速キットは感度が52%〜90%、特異度83〜99.8%で発症24時間は感度が低いことを念頭に置く必要があります。

投稿者:KUSUat 22:12| 日記