2019年12月04日
南加賀漢方研究会 風邪薬
風邪に使える漢方 慶応義塾大学漢方医学センター客員教授 渡辺賢治先生 漢方は人を診て治療を行う個別化医療が原則です。西洋医学の守備範囲と限界を見極め漢方を使います。漢方薬は複数生薬からなり、組み合わせによる多面的効果があります。異病同治(異なる病気でも同じ薬で)、同病異治(同じ病気でも個人の病気に対する応答は異なる)ということがあります。証は症状のことで基本概念に虚実、寒熱、気血水があります。虚実は体力から考えます。寒熱は自覚症状で熱証は顔が赤みを帯び発汗傾向、寒証は寒気があり青白い顔で振える感じです。感冒では体力がある人で初期は葛根湯、麻黄湯が選択されます。虚弱者の初期は桂枝湯、香蘇散、麻黄附子細辛湯です。中期の咳痰には小柴胡湯、柴胡桂枝湯、麻杏甘石湯です。緩解期に残る咳や倦怠感には補中益気湯です。慢性期(7〜10日以降)空咳が取れない時は麦門冬湯、痰のあまり多くない咳でゼーゼーし発汗傾向は麻杏甘石湯、咳痰が残り眠れない時は竹ジョ温胆湯を使います。風邪の初期ウイルス排除には発熱が生体防御を有利にします。寒証の人には附子(体温を上げ痛みをとる)のはいった真武湯(胃腸が弱く下痢傾向)麻黄附子細辛湯(体が温まらず汗もかかず水洟、関節や手足の冷えや痛み)が使われます。以上を考慮して処方しますが治まらなければ肺炎など細菌感染の可能性を疑う必要があります。
投稿者:KUSUat 19:42| 日記