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2020年06月07日

頭痛 クラウンド・デンス症候群?


分かりにくい頭痛にクラウンド・デンス症候群があげられる。頸椎環軸関節に起きる偽痛風が原因とされている。急激に発症する頸部痛頭痛で頭部の回旋前屈後屈が痛みでできなくなる。頭痛は部位が特定しにくいことも多い。診断はCTで第2頸椎歯状突起後方周囲の石灰化を確認することが重要になる。その像は歯状突起が冠をかぶった(crowned)ように見えるために病名がついたのだと思われる。高齢の女性に多いようだ。治療はNSAIDが有効である。私はこれにヨクイニン湯を追加している。頭痛に際してCTを撮る時は必ず第2頸椎を含むスライスから始めるようにしている。またわずかな石灰化を見落とさないように、その部位はウィンドウ幅とウインドウレベルを調整して読影するようにしている。これまで、分からないまま鎮痛剤(NSAID)を投与して治っていた中にこの症候群がはいっていた可能性はあると思われる。現在はチェックしているので見逃すことはないはずです。最近経験した80代女性の症例は実に複雑でした。三叉神経痛があり薬でコントロールされていましたが新たに頭痛をきたし診察すると浅側頭動脈に圧痛があり巨細胞動脈炎の診断でステロイド投与し改善しました。しかし今度は後頭部痛が出現、後頭神経に圧痛を認め神経ブロックで改善しました。その次に部位不明の頭痛を訴え始めヒステリーと間違えそうになりましたがCTでクラウンド・デンスを確認し上記薬剤投与で改善しました。この症例は本当に多彩な病態があるのか省察する必要があります。

投稿者:KUSUat 19:52| 日記