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2021年07月03日

神経学会東海北陸 神経核内封入体病




臨床症状が多彩で診断に難渋する疾患に神経核内封入体病がある。中枢神経系や末梢神経系の神経細胞などや一般臓器細胞の細胞核内にエオジン好性の封入体を認めるのが特徴であるが、その部位や程度が様々であるため他の疾患と間違われてしまうことが多い。今回の地方会では3つの発表があったが一過性の視野障害、繰り返す意識障害、進行性の視力障害とバラバラであった。発症年齢は乳児期から60歳代までと幅広いため臨床診断は困難とされてきた。高齢発症では物忘れを主訴に受診される方もあり他の代表的な認知症と鑑別を要する事になる。血管障害様の病像を示したり、意識障害発熱頭痛など脳炎様症状を呈するものや痙攣発作を起こすものも見られる。参考になる検査としてはMRI拡散強調画像で皮髄境界領域に沿った高信号領域が特徴的であるが中に高信号をていさないものもあるという報告もあり単純でないようだ。MRIで上記所見をつかんだ場合は皮膚生検を行い核内封入体を確認できれば診断が確定する。また遺伝子検査も考慮される。ただ現時点では根本的な治療法は確立されていない。

投稿者:KUSUat 23:37| 日記