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2021年11月01日

脳神経外科学会総会(2)シンポジウム 認知症




アルツハイマー型認知症は発症前からの脳へのAβの異常蓄積が進行して出現することが分かっています。そのため診断や予防のためAβの分布や動きをみることの重要性が言われてきました。アミロイドPET-CTは脳内へのアミロイド沈着を画像で示してくれます。しかしこの方法は高額な装置と高額な薬剤を要するため費用の面でもハードルの高さが問題でした。脳内アミロイド沈着と相関する変化を血漿Aβバイオマーカーを測定で得ることが出来るようになり診断、予防への道が開けてきました。島津製作所のIP-MS法による検出器は実用化されてきました。臨床診断や臨床治療研究に際してのスクリーニング検査として有力な手段であると言えます。また予防医療の一環として使うことも可能です。ただし効果的な予防法や治療法がない段階で無暗に検査すると不安を煽ることにもなり配慮が必要です。アルツハイマー型認知症にも非定のものがあり若年者で海馬萎縮を伴わないタイプがあります。高次機能が侵されparietal(頭頂葉)variantやfrontal (前頭葉)variantがあり発現症状も異なります。前頭側頭型認知症は20%はPick病ですが多くはTDP-43タンパクの蓄積を認めるものが多いようです。進行性非流暢性失語を呈したり記憶障害が少ない物もあります。
BPSD(周辺症状)の治療と予防では抗精神病薬の使用には注意が必要です。死亡率を1.7倍にあげ転倒、骨折の危険性も上げることを念頭に置く必要が有るでしょう。症状が落ち着けば減薬、中止を心掛けます。メマンチンやガランタミンは抑制効果が期待されます。リバスチグミンは食欲増進に働くグレリンの上昇に作用します。低体重は認知機能の低下や死亡率の上昇に関連します。ベンゾジアゼピン系薬剤は夜間の転倒や認知症リスクの上昇に関与します。夜間せん妄の予防にはベルソムラ、デエビゴが効果することがあります。 

投稿者:KUSUat 08:39| 日記