<< 前のエントリトップページ
2023年06月01日

脳神経外科コングレス (2)脳卒中後てんかん


脳卒中後てんかんについて  通常のてんかんは発作が2回以上でないと診断しない原則がありますが脳卒中後てんかんでは1回でてんかんと定義することが出来ます。頻度は脳梗塞で3〜5%脳出血、クモ膜下出血で5〜10%と言われています。最近は治療の進歩により若干低下傾向にあります。脳卒中の発症数は年間20万件でてんかん新規発症は8000〜15000件と考えられます。初回発作は1週間内のものをearly seizureといい直接的な障害よるもので多くは一過性ですが3〜4割が持続するものになります。1週間以後はlate seizureで皮質の瘢痕化が焦点となり7割が再発する経過をたどります。危険因子の評価で脳出血late seizureに使われるCAVEスコアでは3点で4割4点で6割がてんかんに至ります。脳梗塞ではSeLECTスコアを使い4点までは0ですが5点以上から8点9点になると6割に達します。脳卒中後てんかんを継時的にみると3年間の経過観察で正比例的に上昇しておりピークが確認されませんでした。1年で1.9%で3年で5.9%でした。発症低下因子としてはARB、スタチン、DPP-4阻害薬が上げられます。出血性病変では脳表にヘモジデリン沈着があると48.9%に発作が出現し鉄イオンの関与が考えられています。予防的抗てんかん薬の投与は高齢者や皮質下出血で重要度が上がります。発作があった場合は永続的な使用が必要です。症候性部分てんかんではfirst choiceとしてシナプス後膜でグルタミン酸をブロックするベランパネルも考えられます。

投稿者:KUSUat 09:53| お知らせ