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2024年2月21日

認知症の診断




認知症における診断について 認知症の半分はアルツハイマー型認知症で脳血管性認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症と続くが、これらの病名は病理診断名です。亡くなってからしか診断できないことになると治療が成り立たないことになります。そのため各疾患の臨床的特徴をとらえて仮に診断し治療を開始することになります。極端な話では、半分がアルツハイマー型認知症であるとすると全員にアルツハイマー型認知症の診断をしても半分は正解します。また病理診断名ですので生前に正否を確認することが出来ないため言ったもん勝ちの診断に陥ることがあります。そのような事態を防ぐ手立てとして補助診断技術としてバイオマーカーを開発し使用することが図られています。脳血管性認知症はMRIやCT画像が参考になります。前頭側頭型認知症もある程度CT,MRI画像が参考になります。レビー小体認知症は心筋MIBGやDAT-SCANやパーキンソン病症状が参考になります。アルツハイマー型認知症ではアミロイドβの細胞外凝集やリン酸化タウ蛋白の細胞内蓄積が原因とされ、これらの証明の手法が開発されてきました。アミロイドPETやタウPETが有りますが、これらは施行施設が少なく、また極めて高額な検査で利用しにくい問題があります。 血液中のアミロイドβの測定技術が精度を上げてきており、これが使えれば費用は少なく多くの人が利用できます。またRIを使った脳血流測定(SPECT)での血流パターンの違いで診断することもありますが、これも必ずしも臨床症状と合うわけではありません。現実的にはいくつかの手法を使い診断し治療を行い、必要であれば修正を図りながら診ていくことを行っていると言えます。

投稿者:KUSUat 00:23 | お知らせ

2024年1月25日

医師会講演会




レイルと過活動膀胱 西野クリニック院長西野好則先生  三大老年症状は尿失禁、認知症、転倒骨折です。また介護で苦労するのは排尿障害、入浴、食事です。排尿障害では皮膚トラブル、尿路感染、QOLの低下、健康感の低下、様々なフレイルに至ります。フレイルとは要支援の状態で健康に戻ることが可能な状況を指します。フレイルの具体的な定義は様々で確定していませんが簡易フレイルインデックス(1)6ヶ月での2〜3kgの体重減(2)歩行が遅くなる(3)ウオーキングを週一回以上していない(4)5分前のことを思い出せない(5)ここ2週間分けも無く疲れた感じがするなどのうち3項目以上あればフレイルと言えます。排尿システムは畜尿と排尿で構成されますが過活動膀胱(over active bladder OAB)は頻尿をきたし膀胱容量も縮小します。早め早めにトイレにいくと膀胱容量は更に縮小しトイレが我慢できなくなります。また糖尿病はOABのリスクが2倍になります。過活動膀胱の治療は前立腺肥大のないことを確かめます。また血尿、膿尿、残尿も確認し他の病態を除く必要が有ります。ビベグロン(ベオーバ)は膀胱平滑筋の弛緩を図るβ3作動薬で2018年より処方できるようになりました。ベオーバは同効薬剤のベタニスを効果的にはこえていると思います。これまでは抗コリン薬が使用されてきましたが認知機能への影響や便秘のことを考えると第一選択はβ3作動薬が良いと私は考えています。尿失禁が改善すると日常生活の改善を実感できることになります。抗コリン薬を使用する際は半減期の短いウリトスを時間限定で使うことも有ります。

投稿者:KUSUat 16:05 | お知らせ

2023年8月4日

夏休み (2)



投稿者:KUSUat 10:07 | お知らせ

2023年6月2日

神経学会 シンポジウム遠隔医療


遠隔医療(telemedecine)が作る未来 医療機関から遠隔であるため適切な診断治療に至らない場合、それに対処すべく遠隔医療が望まれます。たとえばTPA療法は診断治療に際して時間的制限があります。この時、遠隔の専門医と画像、データを共有し診断し治療を行うことができます。たとえば神経学的検査はどうしても現場でなければ出来ない項目がありますが専門医の指示により代行できるtelepresenter(海外では養成コースのある国もある)が育成できれば遠隔医療の信頼性を上げることが出来ます。また画像、動画の共有においてAIを応用することで時間短縮、精度向上を図ることができると考えています。パーキンソン病などで遠くから通院の場合、いろいろな制約があり頻繁に受診が出来ないことがあります。この場合ヴァーチャルリアリティ技術を利用して遠隔での診察を試行しましたが診療精度の低下は確認されませんでした。実際の通院と遠隔医療を組み合わせることで患者さんの負担を軽減できると思われます。画像の利用としては表情、音声は認知機能やパーキンソン病の病状と関連することが分かってきました。AIを利用してアルツハイマー病、パーキンソン病の評価にも使えると思います。眼科領域では広範囲眼底カメラでとらえた画像をAIに学習させ眼底病変の診断に使うことが出来ます。遠隔地から画像を送ってAIに解読させることが出来るのです。データを重ねて精度の向上が図られています。また医療ではありませんが病院に受診する前にアバターを使ってモニター上で病院内を見ておいて実際の診療の際スムーズに動くことが出来ます。

投稿者:KUSUat 17:23 | お知らせ

2023年6月1日

脳神経外科コングレス (2)脳卒中後てんかん


脳卒中後てんかんについて  通常のてんかんは発作が2回以上でないと診断しない原則がありますが脳卒中後てんかんでは1回でてんかんと定義することが出来ます。頻度は脳梗塞で3〜5%脳出血、クモ膜下出血で5〜10%と言われています。最近は治療の進歩により若干低下傾向にあります。脳卒中の発症数は年間20万件でてんかん新規発症は8000〜15000件と考えられます。初回発作は1週間内のものをearly seizureといい直接的な障害よるもので多くは一過性ですが3〜4割が持続するものになります。1週間以後はlate seizureで皮質の瘢痕化が焦点となり7割が再発する経過をたどります。危険因子の評価で脳出血late seizureに使われるCAVEスコアでは3点で4割4点で6割がてんかんに至ります。脳梗塞ではSeLECTスコアを使い4点までは0ですが5点以上から8点9点になると6割に達します。脳卒中後てんかんを継時的にみると3年間の経過観察で正比例的に上昇しておりピークが確認されませんでした。1年で1.9%で3年で5.9%でした。発症低下因子としてはARB、スタチン、DPP-4阻害薬が上げられます。出血性病変では脳表にヘモジデリン沈着があると48.9%に発作が出現し鉄イオンの関与が考えられています。予防的抗てんかん薬の投与は高齢者や皮質下出血で重要度が上がります。発作があった場合は永続的な使用が必要です。症候性部分てんかんではfirst choiceとしてシナプス後膜でグルタミン酸をブロックするベランパネルも考えられます。

投稿者:KUSUat 09:53 | お知らせ

2023年3月8日

内科学会教育講演 腎疾患とSGLT2阻害薬


腎疾患におけるSGLT2阻害薬について 金沢大学感染制御部 腎臓内科 岩田恭宜教授 慢性腎不全によって透析に至る患者は毎年4万人を越える。慢性腎臓病(CKD)は8人に1人、1300万人が罹患していると想定されている。透析患者では糖尿病性が多いが最近は腎硬化性や不明のものが増えている。SGLT2によりブドウ糖は90%が再吸収されるが糖尿病では過剰に発現している。それを抑制するSGLT2阻害薬を2型糖尿病患者に使用すると腎イベントが約40%減少する。機序としては血行動態や抗炎症作用等が考えられている。SGLT2阻害薬使用すると腎機能は少し低下するが短期で回復してきて長期的には機能低下を遅らせるというう経過をとる。また低下時も高カリウム血症は起こしにくい。軽症CKD,尿アルブミン陽性に対して効果が高い。またステージ4CKDの保護作用もある。eGFRが30以下では効果が少ないがタンパク尿に対してはeGFRにかかわらず保護作用が期待できる。レニンアンギオテンシン系薬剤は輸出細動脈に働き、SGLT2阻害薬は輸入細動脈に働き腎糸球体内圧を下げるとされる。SGLT2阻害薬はアルドステロン拮抗薬併用で効果が高まる。また間接的作用も指摘されている。尿酸を0.8mg/dl下げ痛風発作や高尿酸血症による腎機能低下を防ぐ。また糖尿病での貧血を予防する。更に4〜5mmHg血圧を下げる。非アルコール性脂肪肝炎を改善するなどの作用もあります。

投稿者:KUSUat 17:32 | お知らせ

2023年2月6日

頸動脈エコーについて


エコー検査機器を更新したので現在行っている頸動脈エコーについてまとめてみたい。頸動脈は総頸動脈で始まり顎の下付近で分岐して内頸動脈と外頸動脈になる。エコーで見ると血管は外膜の層と内膜中膜で構成される層の二つの層で表される。内側の層の暑さが1から1.1mm以上あると動脈硬化性変化と捉える。部分的に更に盛り上がっている場合はプラークと名付け極端な場合は頚動脈狭窄をきたす。更に進めば頸動脈閉塞を起こす。プラークの中が黒く見える場合は超音波を反射しにくいコレステロールなどの脂質が蓄積していることを示し不安定なプラークととらえる。破綻しやすく壊れると創面で血栓ができ脳へ塞栓となり流れていき脳血管を閉塞して脳梗塞を起こすことがある。また頸動脈は皮膚の浅いところを走っているため観察し易い。血管のサンプルとして評価し易いので頸動脈の変化から心臓の冠動脈の状況や脳血管の様子を推測することができます。たとえば眩暈の患者さんで頸動脈に動脈硬化性変化がなければ頭蓋内での血管障害の可能性は低くなります。プラークは高血圧でも進展すると言われ物理的なメカニズムで分岐部など乱流をきたし易い部分での変化が参考になります。また乱流は凸凹なプラークによっても起きやすくなります。エコー検査では血流速やそのパターンが分かります。末梢で閉塞や狭窄があると流速パターンが途切れる所見を示すことがあります。椎骨動脈も見えますが椎骨の間で途切れ途切れに見えることと元来バリエーションが多く評価が難しく検査はしていません。

投稿者:KUSUat 00:12 | お知らせ

2023年1月25日

頭痛診療の進歩


頭痛診療の進歩 医師会雑誌特集を参考に 頭痛には放置すると危ないものとそうでないものがあり危ないものは二次性頭痛に分類される。クモ膜下出血、脳出血、動脈解離、血管炎、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、可逆性脳血管攣縮症候群やウイルス細菌感染は診断し早期に適正な治療を行わなければならない。副鼻腔炎や急性緑内障でも頭痛を生ずる。アルコールによるものや鎮痛剤の乱用によるものもある。低髄圧症候群は診断が難しいが起立時の頭痛が特徴である。低髄圧と髄液の漏出が確認出来れば診断がつくが確認出来ない時は治療に難渋することになる。一方、一次性頭痛は片頭痛が最も多い。最近新たな薬剤が出てきてコントロール困難な場合でも対応が可能になってきた。三叉神経血管説によるCGRPに対する抗体を月に一回皮下注射することで発作を抑えることができ画期的といってよいと思われる。緊張型頭痛は片頭痛と紛らわしいこともあり合併していることもある。判断がつかず片頭痛、緊張型頭痛の両者に効果のあるアミトリプチリンを使用しながら経過を見る場合も経験している。群発性頭痛は酸素吸入で発作が治まれば診断がつくが片頭痛と鑑別しにくい場合もある。発作性片側頭痛や持続性片側頭痛はインドメタシン(現在はプロドラック)が著明な効果を示すことで診断できる。

投稿者:KUSUat 13:52 | お知らせ

2023年1月3日

年の初めに


年の初めにこの一年の目標や期待を揚げることは大切なことと思っています。実際何でもかんでもすることは出来ませんし、やはり興味のあることが主になります。現在最も興味のあることは脳卒中と睡眠時無呼吸症候群の関係です。高血圧症は脳卒中と密接な関係にあり特に夜間における高血圧は大きなリスクになると言われていました。生涯の四分の一から三分の一の時間は睡眠に費やされます。従来、睡眠中の血圧は臨床では殆んど把握されていませんでした。そこで夜間血圧を測定するシステムが使えるようになったため10年ほどまえから高血圧の患者で夜間血圧を測定することを始めました。すると脳梗塞の方や眠りの浅い方で夜間の血圧の上昇を示す傾向があることが分かってきました。しかし4年前にそのシステムサービスが終了になり、代わりのものを探していました。2年半程前に酸素を購入している会社から簡易型の終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)の紹介を受けました。就寝中の酸素飽和度、脈拍数、一時間当たりの無呼吸低呼吸回数が測定できるシステムで装着が容易なことが特徴でした。夜間の高血圧の原因として睡眠時無呼吸症候群(SAS) が考えられるので夜間の酸素飽和度のモニターだけでも参考になると考え導入することにしました。それで高血圧の患者さんでコントロールの悪い方から順に測定をしてみました。するとCT、MRIで脳虚血性病変のあるグループとないグループで比べると、あるグループがないグループの3倍重症SASが多いというう結果が出てきたのです。中等症も精査すると脳虚血性病変群ではCPAPの適用範囲に約半数が入るという結論でした。今年はこの事実をより多くの人に知ってもらい脳卒中の予防治療が少しでも進化するよう頑張ってみたいと思います。

投稿者:KUSUat 13:23 | お知らせ

2022年12月27日

ゆらぎ現象の一年間


ゆらぎ現象という言葉が有って、事象は平均的に出現するものではなく不均等に立ち現れるものだというふうに理解していました。日常診療でいうとある期間に同じ病気の患者さんが何人も来られることを経験します。今年はパーキンソン病の患者さんが何人か続きました。しかも同日に二人受診されることもありました。そして時期を過ぎると新たに来られる方がしばらくなくなるという具合です。天候や季節に影響される病気では理解できるのですが、そうでない病気で法則性をつかもうとすると頭が混乱するため、ゆらぎ現象だと無理やりみなしている面もあります。一昨年は聴神経鞘腫、昨年は脳下垂体腺腫が短い期間に複数ありました。来年は何が現れるか分かりませんが十分な対処をしていきたいものと思います。今年はもう少しとなりましたが、いろいろ大事な事を始めることになった年でした。

投稿者:KUSUat 23:02 | お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

2022年12月16日

パーキンソン病の嚥下障害


パーキンソン病の嚥下障害 国立精神・神経医療センター病院 山本敏之先生 パーキンソン病に於ける嚥下障害は後期進行期ではよく見られる。20〜44%が肺炎により死亡している。特に誤嚥している患者では肺炎リスクが高い。パーキンソン病の45.8%レビー小体病の83.4%が肺炎に罹患するという。パーキンソン病患者は咳嗽反射の閾値が高く咳が出にくいうえに随意の咳も気流が遅いという状況にあります。これらは誤嚥を起こし易い条件と言えます。嚥下機能の低下は重症度には必ずしも相関してはいません。自覚が乏しく不顕性誤嚥を起こします。パーキンソン病の誤嚥の原因は錐体外路徴候によるものの他嚥下筋群運動障害(αシヌクレイン蓄積)舌咽神経・上喉頭神経感覚障害(αシヌクレイン蓄積)食道入口部開大障害、姿勢障害、中枢パターン発生器の異常などが関与しています。誤嚥の可能性の判別では1年で体重が減って痩せたか、服薬時むせるか、食事中に動きの悪い時があるかをチェックします。対策としてはウェアリングオフがあれば食事時間をオン時間にもっていく、嚥下訓練をする、胃瘻などがあります。抗パーキンソン薬で運動障害が変わらなくても嚥下が改善することはあります。L-dopaの血中濃度は空腹時服用では2時間で下がりますし、食後服用では立ち上がりは悪いが濃度は長めに維持されます。このような特徴も考え服薬タイミングを決めていきます。頻回投与は時間管理が難しくなる点が問題となります。ラサギリンはオン時間を増やし有用です。嚥下障害があると薬が停留し吸収ができない状況が出現し日内変動の原因となることもあります。たとえば貼付薬で症状改善をはかってから服薬するという方法もあります。顎を引き頸部伸展を改善すると有効なこともあります。また梨状陥凹の残留は頸部を回旋して嚥下することで改善します。頭部挙上訓練や嚥下おでこ体操も有効です。一度栄養失調になったパーキンソン病患者は改善し難いので姿勢を改善したり、とろみをつけた食事を工夫したり、嚥下訓練をしたり薬物療法以外の対応も必要と考えられます。

投稿者:KUSUat 18:43 | お知らせ

2022年12月1日

講演 振えの対処について


振えの診断治療 名古屋大学神経内科 坪井崇先生 振戦の診断は部位やパターン、その他症状に加えMRIや血液検査等を参考にして行われます。パーキンソン病は動作が緩慢で固縮を認め安静時の振戦が特徴です。動かすと一時止まり、その後振戦が強くなります。このような振るえをReemergent tremorといい7割に認められます。書字は書き出すときちんと書けます。本態性振戦では動かしても変化はなく書字は高度に障害されます。動作や運動時に出現する振戦は生活に支障を来します。パーキンソン病ではlevodopaが有効であるが用量が多い。プラミペキソールや非ドーパミン系のゾニサミドが使われます。トリヘキシフェニジルも使われますが高齢では認知機能への影響も考えます。脳深部刺激(DBS)も効果があります。70歳以下でlevodopaが効果ありウエアリング オフやQOLの低下がある場合考慮されます。集束超音波療法(FUS)は62%で改善が見られます。ただ日本では片側のみ認められています。本態性振戦ではベーターブロッカー、プリミドンが使われます。本態性振戦があるとパーキンソン病の発症率が高くなるという報告もあります。

投稿者:KUSUat 00:11 | お知らせ

2022年10月10日

脳神経内科領域でよくある病気


失神の診方 金沢医科大学脳神経内科 朝比奈正人教授  失神は一過性の意識消失発作で姿勢を保つことが出来なくなる状況で自然に回復するもので脳全体の低還流によって起きることを言います。多種の原因で生じますが血管迷走神経失神(VVS)は代表的なものです。若い女性に多く起立時に生じます。立ちくらみ、視野の白濁や暗黒、顔面蒼白、冷や汗、悪心などを伴います。長時間起立や痛み、恐怖、緊張で誘発されます。悪化要因では脱水、午前中、飲酒、貧血があります。診断では問診が大切です。前段階として起立時であったかは診断的に重要です。失神中の時間や回復の流れは注意する部分です。心原性失神とVVSの差は前者では60歳以上で男に多く労作時に多く姿勢に関わらず出現するに対して後者は40歳以下で女に多く立位で起き20秒以内が特徴です。VVSの生活指導は起きたらすぐに座り込むか足を組むなどして下肢に力を入れるようにします。長時間の起立や暑熱環境を避け、脱水に気を付けます。食事は炭水化物を減らし塩分を増やします。運動して特に下肢筋力の増強は大事です。頸動脈失神(CSS)は動脈硬化の危険因子がある60歳以上の人で起立時に起き易く振り向きや上を見たり髭を剃ったりネクタイノ締め過ぎやきつい襟でも起きることがあります。以上の二つは反射性疾患に分類されてんかんとの違いは前者は持続時間が10秒程度で短く意識障害の遷延がありません。けいれんでミオクロニックジャークをみることはありますが、てんかんで見られる強直性,間代性は示さずマーチングもありません。また外傷や咬舌はありません。その他反射性失神には状況失神といのもありこれは若年の方で飲酒後に起こし易い排尿失神や高齢女性の切迫した排便で生ずる排便失神や嚥下で誘発される嚥下失神、咳嗽で出る咳嗽失神があります。

投稿者:KUSUat 23:19 | お知らせ

2022年10月2日

脳神経外科学会総会 認知症


認知症診療における脳(血流)SPECTおよび特発性正常圧水頭症(iNPH) について: 岡山大学脳神経外科伊達勲先生  認知症診療の基本は早期に診断し原因に基づいて治療することが原則です。診断は二つの視点から行うよう心掛けています。一つは疾患の頻度です。アルツハイマー型認知症が67.4%、血管性認知症が18.9%で多くを占めます。レビー小体型認知症は4.6%,前頭側頭型認知症は1.1%です。その他が8%になりますが正常圧水頭症はその中にはいります。もう一つは治療可能性からの視点です。治療可能な認知症としてはiNPH、慢性硬膜下血腫が上げられます。治療は困難であるが二次予防が可能なものは血管性認知症です。薬剤で進行を遅らせることが出来るものにアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症があります。前頭側頭型認知症は対応が定まっていません。ケアによっても穏やかな生活を送っていただくことが目標となります。脳SPECT検査が必要な症例は基本的には頭部CT,MRIで判断がつかない症例になります。アルツハイマー病の早期例では精神疾患との鑑別にも有用です。若年性アルツハイマー病では萎縮が目立たないことがあります。また大脳基底核変性症との鑑別に際してしばしば必要になります。 レビー小体型認知症や形態的異常が目立たない前頭側頭型認知症においても診断に寄与します。 iNPHの診断基準は60歳以上で脳室拡大を認めるもので歩行障害、認知障害、尿失禁の一つ以上があり、他の脳室拡大をきたす可能性のある先行疾患のないものをProbable iNPHとする。更に脳脊髄髄液圧が20cm水柱以下で液性状が正常で髄液排除試験で症状改善を認めるものか、又は歩行障害があって上部くも膜下腔の狭小化のあるものはシャント術が考慮される。シャント術施行後症状改善があったものをDefinite iNPHとする。

投稿者:KUSUat 12:15 | お知らせ

2022年8月2日

夏休み (1)





投稿者:KUSUat 19:24 | お知らせ

2022年7月5日

高齢者てんかんと洞不全症候群




高齢者のてんかんは若年で起きるものとは症状も違い
診断も迷うことがあります。記憶がとんだり急に動き
が止まったり、呼びかけに反応しなかったりなど様々です。一時的な片側運動麻痺、一時的片側視野障害など意識障害のないものもあります。意識消失を繰り返すものもあります。CT,MRIの画像検査では診断できませんし脳波検査でも確定診断が困難なことが多いです。脳波異常がうまく検出されなくてもてんかんはありますし、脳波異常イコールてんかんでもないのです。発症の頻度やパターンがヒントになることも度々です。腹痛が発作というパターンもあるといいますが普通はてんかんを先ず疑うことは少ないのではないかと思います。ただ治療に関しては少量の抗てんかん薬で良くコントロールされます。このため診断に迷ったとき試験的に薬剤投与してその効果で診断することになるケースもあります。最近、3年前にてんかんと診断され2年前より当院で診ている80代の女性でコントロールが悪くなり薬剤を増やしても効果が得られないので普通と違う思っていました。診察の際は降圧薬も出しているため脈もチェックしていました。診察中に脈拍数が70から40に急に低下することがありホルター心電図をとると3秒以上の心停止もあり洞不全症候群であることが分かりました。この方はペースメーカーの適応で設置術が施行されました。洞不全症候群は3人目です。

投稿者:KUSUat 18:06 | お知らせ

2022年6月20日

内科地方会教育講演 認知症




アルツハイマー病の治療戦略 金沢大学 脳神経内科小野賢二郎教授 現在、認知症と軽度認知症合わせて860万人になります。アルツハイマー病が64%血管性認知症が15%レビー小体型認知症が12%です。診断するには先ず治療可能な認知症を除外していきます。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかん、甲状腺機能低下症、B1欠乏、B12欠乏、H2ブロッカー、ジギタリス、抗ヒスタミン薬、梅毒、うつ病など多様です。とくに急速進行するものに治療可能なものが多い傾向はあります。アルツハイマー病は近時記憶障害が初発で言い繕いがうまく、礼節は保たれます。血管性認知症は物忘れは軽度で階段状の進行悪化が特徴です。レビー小体認知症は鮮明な幻視、パーキンソン病症状、レム睡眠行動異常が特徴的です。それぞれ画像による補助診断があります(脳血流SPECT,心筋MIBG,DAT-SCAN,頭部MRI)。長谷川式認知症スケールはアルツハイマー病の検出に向いています。遅延再生に対しての点数付与が大きいです。MMSEでは画像模写が不調で遅延再生が低下無い時はレビー小体型認知症が考えられます。中核症状に対する治療は現在対象療法ですが症状に合わせて2系統の薬剤を使います。例えば、興奮性が強い場合はガランタミン、メマンチンを使ってみます。根本的治療では神経組織に沈着するAβ(アミロイドベータ)を取り除く薬の開発が進んできていますが、早期の段階で使用開始しなければ効果を出すことは難しいと考えられていますので早期診断法の開発実用化も期待されています。

投稿者:KUSUat 23:41 | お知らせ

2022年5月11日

投稿での蹉跌




脳梗塞の危険因子として夜間高血圧が以前より言われているが8年前より高血圧患者で夜間血圧の測定を行っていました。高血圧の方で日中の血圧がコントロールされていても夜間は高い場合があり投薬のタイミングを夕食後にするなど対応してきました。ところが3年前で夜間血圧記録システムの利用が終了になり代わりの手段を検討していました。 本来夜間は休んでいて血圧はむしろ低くなると思われるのに高くなるのは何故かとも考えてみました。その原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)とすると十分説明がつくのではないかと考え測定装置を調べてみました。確かにそのような測定装置(簡易終夜睡眠ポリグラフィーPSG)は有ったのですが胸にベルトを巻いたり鼻にカニューラを入れたりするため外来で気軽には使用しにくい物でした。そのような状況で新しいタイプの簡易PSGのウオッチパット(WP)に出会いました。イスラエルで開発された装置で指先につけたキャップと胸につけたイビキセンサーで無呼吸回数や酸素飽和度、脈拍数が分かるのです。私が診ている高血圧の患者さんは慢性期脳虚血患者が多いのですがWPで調べてみると8割が中程度以上、半数が重症のSASであることが分かり驚いたのです。日本では誰もこの様な外来での取り組みを行っていないので衝撃的で有った訳です。それで海外文献をみてみると10年前でも最近でもエネルギッシュな論文が既に出されていました。やはり日本では使い易い測定装置がなかったため実行されてこなかったと思われました。人生の1/3を占める睡眠時間はブラックボックスのままで有った訳です。この様な重大な知見が知られないままになると患者さんの治療に空白が生じます。世界に遅れガラパゴス化してしまいます。この事実を広く伝えなければと思い2年間の症例をまとめ学術誌に発表しようと原稿を投稿しました。しかし、診療データを使う発表は医療倫理委員会を通すことが条件であることを指摘され、躓いてしまいました。私が経験した事実は労力がかかっても何んとしても伝えなければならないと思っています

投稿者:KUSUat 00:23 | お知らせ

2022年2月27日

脳卒中診療におけるブレークスルー




ブレークスルーはこれまで滞っていたものが突破され急に進展することをさす言葉で最近の流行り言葉で何にでも使われているきらいはある。また考えもつかなかった方法で事態が変わっていくことにも使われる。高血圧では家庭用血圧計の普及で日常生活の血圧測定が可能となった。血圧コントロールの際のデータは家庭での数値の方が医療機関でのデータより信頼度が高いことが分かってきた。このことで従来の診療判断は大きく変化したといえる。これなども静かなブレークスルーといえるのではないか。脳卒中診療では高血圧、糖尿病、高脂血症への対策がとなえられ成果を上げてきた。それらに対しての治療は精緻となっているが、それ以降の治療の進展は大きくは進んでいない。生涯の1/3から1/4は睡眠に費やされるがその間のデータは日常診療では殆んど顧みられることはない。というよりはデータそのものが存在していなかった。それはこれまで家庭における家庭血圧計のように自宅で睡眠をモニターすることがかなわなかったせいである。脳梗塞と夜間高血圧の関係は久しく言われてはいるが実用的な測定手段が無かった為無視されていた。夜間高血圧の原因の一つとして睡眠時無呼吸症候群(SAS)がある。先ず感知しないと認知ができないし当然評価もできない。自宅で測定可能な睡眠検査機器が開発され臨床で使用可能となった。今回、脳梗塞の患者さんで自宅でできる睡眠モニターを行ってみたが重症SASが5割中等症以上がSASが8割という高値になった。睡眠モニターによって脳卒中診療に新たな展開が有ると思う。それはブレークスルーに値すると思う。

投稿者:KUSUat 16:41 | お知らせ

2022年2月11日

降雪の翌日の晴天




ニ足歩行をする人類だけが転倒して頭部を打撲します。鳥や犬猫が転倒して頭を打つという状況は考えにくいと思います。打撲の衝撃は速度や高さ等エネルギー量に左右され、衝突する対象の硬さや柔らかさによっても大きく影響されます。打撲の程度は打撲部位の衝突の順番によっても変わります。頭だけ、頭を打って腰も打つ、腰を打って頭を打つ場合では複数個所の打撲ではエネルギーが分散され頭部が後の方が頭部の衝撃は弱くなります。また前方への転倒は地面に手をついて頭部への衝撃を減らすことが出来ますが後方への転倒は防御が出来ないことがあり衝撃は強度になります。後方への転倒は滑って起きることが多いようです。特に冬季は降雪の後、日中に雪が溶けて翌朝溶けた水が凍って、暗い時間帯や黒いアスファルトなど凍結が分かりにくい悪条件が重なると滑ってしまうことがあり要注意です。

投稿者:KUSUat 13:29 | お知らせ

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