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2022年10月10日

脳神経内科領域でよくある病気


失神の診方 金沢医科大学脳神経内科 朝比奈正人教授  失神は一過性の意識消失発作で姿勢を保つことが出来なくなる状況で自然に回復するもので脳全体の低還流によって起きることを言います。多種の原因で生じますが血管迷走神経失神(VVS)は代表的なものです。若い女性に多く起立時に生じます。立ちくらみ、視野の白濁や暗黒、顔面蒼白、冷や汗、悪心などを伴います。長時間起立や痛み、恐怖、緊張で誘発されます。悪化要因では脱水、午前中、飲酒、貧血があります。診断では問診が大切です。前段階として起立時であったかは診断的に重要です。失神中の時間や回復の流れは注意する部分です。心原性失神とVVSの差は前者では60歳以上で男に多く労作時に多く姿勢に関わらず出現するに対して後者は40歳以下で女に多く立位で起き20秒以内が特徴です。VVSの生活指導は起きたらすぐに座り込むか足を組むなどして下肢に力を入れるようにします。長時間の起立や暑熱環境を避け、脱水に気を付けます。食事は炭水化物を減らし塩分を増やします。運動して特に下肢筋力の増強は大事です。頸動脈失神(CSS)は動脈硬化の危険因子がある60歳以上の人で起立時に起き易く振り向きや上を見たり髭を剃ったりネクタイノ締め過ぎやきつい襟でも起きることがあります。以上の二つは反射性疾患に分類されてんかんとの違いは前者は持続時間が10秒程度で短く意識障害の遷延がありません。けいれんでミオクロニックジャークをみることはありますが、てんかんで見られる強直性,間代性は示さずマーチングもありません。また外傷や咬舌はありません。その他反射性失神には状況失神といのもありこれは若年の方で飲酒後に起こし易い排尿失神や高齢女性の切迫した排便で生ずる排便失神や嚥下で誘発される嚥下失神、咳嗽で出る咳嗽失神があります。

投稿者:KUSUat 23:19| お知らせ