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2022年10月02日

脳神経外科学会総会 認知症


認知症診療における脳(血流)SPECTおよび特発性正常圧水頭症(iNPH) について: 岡山大学脳神経外科伊達勲先生  認知症診療の基本は早期に診断し原因に基づいて治療することが原則です。診断は二つの視点から行うよう心掛けています。一つは疾患の頻度です。アルツハイマー型認知症が67.4%、血管性認知症が18.9%で多くを占めます。レビー小体型認知症は4.6%,前頭側頭型認知症は1.1%です。その他が8%になりますが正常圧水頭症はその中にはいります。もう一つは治療可能性からの視点です。治療可能な認知症としてはiNPH、慢性硬膜下血腫が上げられます。治療は困難であるが二次予防が可能なものは血管性認知症です。薬剤で進行を遅らせることが出来るものにアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症があります。前頭側頭型認知症は対応が定まっていません。ケアによっても穏やかな生活を送っていただくことが目標となります。脳SPECT検査が必要な症例は基本的には頭部CT,MRIで判断がつかない症例になります。アルツハイマー病の早期例では精神疾患との鑑別にも有用です。若年性アルツハイマー病では萎縮が目立たないことがあります。また大脳基底核変性症との鑑別に際してしばしば必要になります。 レビー小体型認知症や形態的異常が目立たない前頭側頭型認知症においても診断に寄与します。 iNPHの診断基準は60歳以上で脳室拡大を認めるもので歩行障害、認知障害、尿失禁の一つ以上があり、他の脳室拡大をきたす可能性のある先行疾患のないものをProbable iNPHとする。更に脳脊髄髄液圧が20cm水柱以下で液性状が正常で髄液排除試験で症状改善を認めるものか、又は歩行障害があって上部くも膜下腔の狭小化のあるものはシャント術が考慮される。シャント術施行後症状改善があったものをDefinite iNPHとする。

投稿者:KUSUat 12:15| お知らせ