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2022年12月16日

パーキンソン病の嚥下障害


パーキンソン病の嚥下障害 国立精神・神経医療センター病院 山本敏之先生 パーキンソン病に於ける嚥下障害は後期進行期ではよく見られる。20〜44%が肺炎により死亡している。特に誤嚥している患者では肺炎リスクが高い。パーキンソン病の45.8%レビー小体病の83.4%が肺炎に罹患するという。パーキンソン病患者は咳嗽反射の閾値が高く咳が出にくいうえに随意の咳も気流が遅いという状況にあります。これらは誤嚥を起こし易い条件と言えます。嚥下機能の低下は重症度には必ずしも相関してはいません。自覚が乏しく不顕性誤嚥を起こします。パーキンソン病の誤嚥の原因は錐体外路徴候によるものの他嚥下筋群運動障害(αシヌクレイン蓄積)舌咽神経・上喉頭神経感覚障害(αシヌクレイン蓄積)食道入口部開大障害、姿勢障害、中枢パターン発生器の異常などが関与しています。誤嚥の可能性の判別では1年で体重が減って痩せたか、服薬時むせるか、食事中に動きの悪い時があるかをチェックします。対策としてはウェアリングオフがあれば食事時間をオン時間にもっていく、嚥下訓練をする、胃瘻などがあります。抗パーキンソン薬で運動障害が変わらなくても嚥下が改善することはあります。L-dopaの血中濃度は空腹時服用では2時間で下がりますし、食後服用では立ち上がりは悪いが濃度は長めに維持されます。このような特徴も考え服薬タイミングを決めていきます。頻回投与は時間管理が難しくなる点が問題となります。ラサギリンはオン時間を増やし有用です。嚥下障害があると薬が停留し吸収ができない状況が出現し日内変動の原因となることもあります。たとえば貼付薬で症状改善をはかってから服薬するという方法もあります。顎を引き頸部伸展を改善すると有効なこともあります。また梨状陥凹の残留は頸部を回旋して嚥下することで改善します。頭部挙上訓練や嚥下おでこ体操も有効です。一度栄養失調になったパーキンソン病患者は改善し難いので姿勢を改善したり、とろみをつけた食事を工夫したり、嚥下訓練をしたり薬物療法以外の対応も必要と考えられます。

投稿者:KUSUat 18:43| お知らせ