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2022年06月20日

内科地方会教育講演 認知症




アルツハイマー病の治療戦略 金沢大学 脳神経内科小野賢二郎教授 現在、認知症と軽度認知症合わせて860万人になります。アルツハイマー病が64%血管性認知症が15%レビー小体型認知症が12%です。診断するには先ず治療可能な認知症を除外していきます。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、てんかん、甲状腺機能低下症、B1欠乏、B12欠乏、H2ブロッカー、ジギタリス、抗ヒスタミン薬、梅毒、うつ病など多様です。とくに急速進行するものに治療可能なものが多い傾向はあります。アルツハイマー病は近時記憶障害が初発で言い繕いがうまく、礼節は保たれます。血管性認知症は物忘れは軽度で階段状の進行悪化が特徴です。レビー小体認知症は鮮明な幻視、パーキンソン病症状、レム睡眠行動異常が特徴的です。それぞれ画像による補助診断があります(脳血流SPECT,心筋MIBG,DAT-SCAN,頭部MRI)。長谷川式認知症スケールはアルツハイマー病の検出に向いています。遅延再生に対しての点数付与が大きいです。MMSEでは画像模写が不調で遅延再生が低下無い時はレビー小体型認知症が考えられます。中核症状に対する治療は現在対象療法ですが症状に合わせて2系統の薬剤を使います。例えば、興奮性が強い場合はガランタミン、メマンチンを使ってみます。根本的治療では神経組織に沈着するAβ(アミロイドベータ)を取り除く薬の開発が進んできていますが、早期の段階で使用開始しなければ効果を出すことは難しいと考えられていますので早期診断法の開発実用化も期待されています。

投稿者:KUSUat 23:41| お知らせ