2022年05月11日
投稿での蹉跌
脳梗塞の危険因子として夜間高血圧が以前より言われているが8年前より高血圧患者で夜間血圧の測定を行っていました。高血圧の方で日中の血圧がコントロールされていても夜間は高い場合があり投薬のタイミングを夕食後にするなど対応してきました。ところが3年前で夜間血圧記録システムの利用が終了になり代わりの手段を検討していました。 本来夜間は休んでいて血圧はむしろ低くなると思われるのに高くなるのは何故かとも考えてみました。その原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)とすると十分説明がつくのではないかと考え測定装置を調べてみました。確かにそのような測定装置(簡易終夜睡眠ポリグラフィーPSG)は有ったのですが胸にベルトを巻いたり鼻にカニューラを入れたりするため外来で気軽には使用しにくい物でした。そのような状況で新しいタイプの簡易PSGのウオッチパット(WP)に出会いました。イスラエルで開発された装置で指先につけたキャップと胸につけたイビキセンサーで無呼吸回数や酸素飽和度、脈拍数が分かるのです。私が診ている高血圧の患者さんは慢性期脳虚血患者が多いのですがWPで調べてみると8割が中程度以上、半数が重症のSASであることが分かり驚いたのです。日本では誰もこの様な外来での取り組みを行っていないので衝撃的で有った訳です。それで海外文献をみてみると10年前でも最近でもエネルギッシュな論文が既に出されていました。やはり日本では使い易い測定装置がなかったため実行されてこなかったと思われました。人生の1/3を占める睡眠時間はブラックボックスのままで有った訳です。この様な重大な知見が知られないままになると患者さんの治療に空白が生じます。世界に遅れガラパゴス化してしまいます。この事実を広く伝えなければと思い2年間の症例をまとめ学術誌に発表しようと原稿を投稿しました。しかし、診療データを使う発表は医療倫理委員会を通すことが条件であることを指摘され、躓いてしまいました。私が経験した事実は労力がかかっても何んとしても伝えなければならないと思っています
投稿者:KUSUat 00:23| お知らせ