2022年02月27日
脳卒中診療におけるブレークスルー
ブレークスルーはこれまで滞っていたものが突破され急に進展することをさす言葉で最近の流行り言葉で何にでも使われているきらいはある。また考えもつかなかった方法で事態が変わっていくことにも使われる。高血圧では家庭用血圧計の普及で日常生活の血圧測定が可能となった。血圧コントロールの際のデータは家庭での数値の方が医療機関でのデータより信頼度が高いことが分かってきた。このことで従来の診療判断は大きく変化したといえる。これなども静かなブレークスルーといえるのではないか。脳卒中診療では高血圧、糖尿病、高脂血症への対策がとなえられ成果を上げてきた。それらに対しての治療は精緻となっているが、それ以降の治療の進展は大きくは進んでいない。生涯の1/3から1/4は睡眠に費やされるがその間のデータは日常診療では殆んど顧みられることはない。というよりはデータそのものが存在していなかった。それはこれまで家庭における家庭血圧計のように自宅で睡眠をモニターすることがかなわなかったせいである。脳梗塞と夜間高血圧の関係は久しく言われてはいるが実用的な測定手段が無かった為無視されていた。夜間高血圧の原因の一つとして睡眠時無呼吸症候群(SAS)がある。先ず感知しないと認知ができないし当然評価もできない。自宅で測定可能な睡眠検査機器が開発され臨床で使用可能となった。今回、脳梗塞の患者さんで自宅でできる睡眠モニターを行ってみたが重症SASが5割中等症以上がSASが8割という高値になった。睡眠モニターによって脳卒中診療に新たな展開が有ると思う。それはブレークスルーに値すると思う。
投稿者:KUSUat 16:41| お知らせ