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2023年07月03日

セミナーHIF-PH阻害薬の適正使用


慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血治療 兵庫医科大学循環器・腎透析内科学 倉賀野隆裕教授 CKDが原因の貧血では腎での造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)の産生低下によるものとEPO以外の原因によるものがあり鉄代謝の異常が考えられます。鉄欠乏性貧血では血清鉄が低下し同時にフェリチンも下がります。一方鉄利用障害では血清鉄は充足されておりフェリチンは正常または増加しています。CKDにおいては多くの患者で鉄利用障害を伴うことが分かっています。小児のCKDの統計ですがステージが悪化するほど鉄利用障害の率が高くなります。Hepcidinは肝臓で産生され鉄過剰で増加し鉄の低下で減少します。 過剰な鉄は脾臓、肝臓に沈着します。高フェリチン群は10年から20年後に心血管障害の形などで生命予後が悪くなる傾向があります。細胞死にはネクローシス、アポトーシスなど様々な形がありますが鉄代謝異常によるフェロトーシスという概念も提唱されています。WHOでは鉄欠乏、鉄過剰の診断ではフェリチン値を使うことを推奨しています。またTSAT(トランスフェリン飽和度)と組み合わせて使い診断治療精度上げることができる。低酸素誘導因子(HIF)はVEGF(血管内皮増殖因子)、EPO等の発現を誘導します。HIF-PH(プロリン水酸化酵素)はその物質を分解する酵素で、このHIF-PHを抑えるのがHIF-PH阻害薬です。現在2種類の薬剤が腎障害に伴う鉄利用障害による貧血の治療に使われています。

投稿者:KUSUat 23:11| 日記