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2016年01月17日

講演会 利尿薬の使い方 (1)




福井大学教授 岩野正之先生
腎臓は水とナトリウムのバランスをとる臓器です。
水を体に蓄える作用についてはアルドステロンと抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)が関係しています。
前者はナトリウムの腎臓での再吸収をたかめ循環血液量を増大させます。後者は水を体内に保持しようとします。以上は頸動脈や心房にあるセンサーの信号で調節する容量調節系と視床下部にあるセンサーによる浸透圧調節系により本来調節されます。
しかし腎機能や心機能肝機能の異常で引き起こされるアンバランスに際してはそれぞれ対処しなければなりません。
分かりやすい状況把握には水とナトリウムの量を考慮することが重要です。水をY軸、ナトリウムをX軸にとると水が多ければ低ナトリウム血症、少なければ高ナトリウム血症です。ナトリウムが多ければ浮腫、少なければ脱水です。
最近使用できるようになったトルバプタンは水の再吸収を阻害します。この薬剤は水利尿の薬剤とすることができます。腎機能障害末期、心不全、肝不全の水貯留改善にこれまでにない効果を認めます。ループ系利尿薬は腎機能低下をきたすがトルバプタンでは認められません。

投稿者:KUSUat 22:41| 日記