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2016年02月09日

慢性硬膜下血腫 薬物療法




慢性硬膜下血腫は頭部外傷後数週から数ヶ月後に症状が出現する病気です。
脳と頭蓋骨の間にスペースがあると外傷時、クモ膜が裂けクモ膜と硬膜の間に髄液が入り込みそれによって皮膜が形成されます。この皮膜からの出血が慢性硬膜下血腫を作っていきます。
大きくなると大脳を圧迫して頭痛、麻痺、認知症状、失禁等様々な症状が出現します。場合によっては意識障害、呼吸停止に至ることもあります。
診断は疑いがあれば頭部CTを行うことで確定できます。
経過は自然に改善するものもありますが、症状が出現したものは比較的簡単な手術で多くが改善します。
近年薬物による治療も取り入れられてきました。イブジラスト(ケタス)の服用や漢方の五苓散による治療も報告されています。ただ経験からいうと出血が新しいものは制御しにくい印象があります。五苓散を使用していて血腫の拡大があり手術となった例を経験しています。CTも発症初期はあまり間をおかない方がよいと反省されました。
通導散は皮下出血や脳内血腫の吸収を促進することが知られています。今回は比較的新しい出血の慢性硬膜下血腫で五苓散と通導散を使用し、14日間で消退していった症例を経験しました。

投稿者:KUSUat 23:39| 日記