2016年02月16日
痺れの話(5)
中枢神経(脳、脊髄)のレベルでの痺れは障害部位により症状の範囲が異なってきます。
知覚の情報が脊髄に入って脳に伝わる経路は知覚の種類によって違うのです。
温痛覚の情報は脊髄の外側後方から脊髄に入りそれから反対側にある外側脊髄視床路へ行きその中を上行して最終的に大脳の視床後外側腹側核に至ります。そこで中継されて大脳中心後回の一次性感覚皮質に到達します。
一方、深部・固有感覚を司る神経線維は脊髄外側後方から脊髄に入り脊髄背側中央にある後索の同側を上行し延髄で反対側の延髄前方内側にある内側毛帯にはいってさらに上行して大脳視床後外側腹側核に入り、そこから一次性感覚皮質に中継されます。
このように体性感覚の種類によって脊髄内、脳幹内での通路が異なるため障害部位により特徴的な症状がみられます。
脊髄の半側損傷では障害部以下の同側の深部・固有感覚鈍麻、反対側の痛温覚鈍麻、同側の運動麻痺が出現します。
脊髄の中心部の障害では、深部・固有知覚鈍麻は出ず脊髄の同レベルに応じた両側痛温覚鈍麻を生じます。脊髄を横断する障害では障害部位以下の全知覚が鈍麻します。
脳幹部における障害の場合も障害の範囲がどの知覚の通路を巻き込むかによって症状が異なり、逆に症状の違いによって障害部位を特定できることになります。
投稿者:KUSUat 00:11| 日記