2016年03月02日
北陸神経疾患研究会(2)
パーキンソン診療のピットフォール
自治医大ステーション・ブレインクリニック
藤本健一先生
(2)治療について
パーキンソン病の薬物療法の最も基本はL-dopa製剤です。単剤だと吸収代謝が速すぎて血中濃度を維持できないためカルビドパやベンセラジドを付加した製剤になっています。前者は血中濃度の上がりが緩やかです。後者は立ち上がりが早く比較的早く下がります。服薬量が増えると濃度のピークが不随意運動がでる領域に達します。ピークをさげるには前者が適しているといえます。またエンタカポンを加えることで濃度上下の大きさを緩やかにすることができます。
L-dopaの効果を早く得たいときは空腹で200ml以上の水でのむと上部小腸に達します。食事にタンパク質が多いと吸収が阻害されます。バナナも吸収に影響します。生活、年齢で吸収が変わることを念頭におく必要があります。
L-dopaは適切量で使用することが大事です。全国的に使用量を調べてみると北陸地方は少なめのようです。パーキンソン病は血圧が下がってくる病気なので経過をみる場合血圧もチェックします。
幻覚妄想には抗うつ薬のテトラミドやレスリンが鎮静作用があり有効です。夜間譫妄にはレスリンは3時間でピークになり半減期が8時間なので夕食頃の服用が合理的です。抑肝散やコリンエステラーゼ阻害薬(アリセプトなど)も有効です。
進行性核上麻痺(PSP)の歩行障害にセデイールが効果することがあります。
すくみ足にはカニ歩き、後に一度下がってから前進、横棒のある特殊な杖、ポール歩行でリズムを作る、普段と違うことをするなどでうまくいくことがあります。薬剤はプラセボでも効くことがあるため単純に評価しないスタンスが必要と思われます。
投稿者:KUSUat 21:29| 日記