2016年07月02日
教育講演 下部尿路症状
排尿障害診療のポイント 日本大学泌尿器科 高橋悟教授 下部尿路障害(LUTS)は男性では出にくい、女性では漏れやすいが特徴です。LUTSは畜尿(切迫、頻尿、尿失禁)排尿(排尿困難)排尿後症状(尿滴下、残尿感)の異常が入ります。 中高年の正常は一回尿量250ml/回,1日量1500ml,排尿時間30秒以内、1日回数7回以下、排尿時間30秒以内、排尿間隔3〜4時間(日中)(夜間は1回以下)が目安です。 LUTSの初期診療で年3回以上の膀胱炎は特定の原因を考えます。肉眼血尿は膀胱癌を疑います。放射線治療後の膀胱は伸展性がありません。パーキンソン病のような神経疾患、骨盤臓器脱もチェックします。残尿50ml以上は要検査です。頻尿、排尿後会陰部痛は間質性膀胱炎の可能性を考えます。 畜尿症状では残尿測定が有用です。簡易にはエコーで3軸の最大径を掛けて1/2にすれば検討がつきます。 尿意切迫感は過活動膀胱からきます。過活動膀胱は週1回以上の頻尿、昼8回以上夜1回以上の排尿、切迫性尿失禁がある場合をいいます。 腹圧尿失禁は咳、くしゃみで誘発され骨盤筋体操が有用です。 夜間頻尿は夜間多尿を示していることがあります。昼に貯まった下肢の浮腫が夜に尿として出てくるのです。食事ではアルコール、カフェインを減らし、肥満を改善します。水は飲みすぎないようにします。 薬物療法では頻尿には抗コリン剤であるベシケアや経皮吸収薬タイプのオキシブチニンを使いますが、男性では前立腺肥大の際には注意が必要です。膀胱容積を増やすβ3作動薬のベタニス(ミラベグロン)は使いやすいと思います。 男性の排尿障害では先ずαブロッカーのハルナールなどを使います。更に進めばベタニスを使います。大きな前立腺肥大(30ml以上)ではDutasterideをPSAを見ながら使いますが、一度下がったPSAが上昇する際は前立腺癌を疑います。尚αブロッカーは射精障害をきたすことがありユリーフで多い印象があります。 夜間多尿の判断で一日尿量での夜間尿量の占める割合が高齢者で0.45一般成人で0.45以上が目安になります。
投稿者:KUSUat 14:26| 日記