<< 前のエントリトップページ
2017年05月19日

認知症対応力向上研修


高齢者の不安不眠 金沢大学精神科 長澤達也先生 高齢者の不安障害は4〜5%といわれます。発症契機は身体疾患やケガが多く、口渇や動悸、めまい、尿・便へのこだわりが見受けられます。全般性不安障害が目立ちます。女性、経済状態の悪さ、うつ身体疾患の合併、社会的サポートの不足が危険因子と考えられます。治療として抗不安薬が頻用される傾向にありますが、それらの多くは薬物依存をきたす可能性が高く、使用期間、使用量に注意を払はなければなりません。不安の非薬物的対処が必要ですが病気について論争するのではなく苦しさに共感してあげることが基本です。論争を避け受動的に対応することが良いようです。基本は関心を他に向けさせることです。腹式呼吸は副交感神経を優位にします。マインドフルネス(気づき)瞑想は過去の記憶にこだわらず現時点の自分の体験に注意を向けて一つのことに集中する方法です。高齢者の不眠は睡眠時間が短くなり眠りが浅くなるという状況におこります。孤立不安、死別や退職による心理社会的ストレス、夜間頻尿、痛み痒みが悪化させます。6時間前後の睡眠時間で十分なのに寝足りないと考えたり、就寝時間が早すぎて眠くもないのに寝床で過ごし眠れないと思ったり、寝ても当然真夜中に眼が覚める ことを不眠と間違える方もあります。ベンゾジアゼピン(BZD)の睡眠薬や抗不安薬の使用で認知症の発症リスクが上がることを認識しておかなければなりません。対策として8時間睡眠を目指さない、就寝時間の早すぎ床上時間の長すぎの是正、若干の中途覚醒は受け入れる、生活リズムの改善、丁寧な薬物調整を行う等です。脳の処理する五感の情報の8割は視覚情報です。閉眼して脳の処理する情報量を先ず減らすことが大切です。高齢者ではBZDは漫然と使用しない。不安に使うならセデイール、不眠に使うならロゼレム、ベルソムラが薦められます。

投稿者:KUSUat 19:56| お知らせ