2019年04月06日
高齢者転倒の隠れた原因
転倒は不注意によるものなのか
高齢になるに伴い転倒することが多くなります。多くは不注意や年をとったせいだと思われています。注意力の低下や筋力低下は高齢になると確かに進行します。しかし、これ以外に重大な原因が見落とされていることがあります。
パーキンソン症候群は典型的な場合は先ず見逃されることはありません。ただし、その始まりは実に分かりにくいものです。
通院されている患者さんが徐々に姿勢が悪くなってくることがあります。本人は腰椎の圧迫骨折のせいと思い込んでいる場合もあります。レントゲン写真で所見があれば、ますます確信することになります。また1年程前から転倒しやすくなったという話をされる場合もあります。このような場合にパーキンソン症候群のことがあるのです。
神経学的検査では賦活して固縮の有無を確認します。動作緩慢も参考になります。表情も不愛想な反応性に乏しい表情かをみます。マイヤーソン徴候も参考になります。しかし確定診断には困難を伴います。僅かの症状なので薬の効果判定も苦労します。
ただ最近の核医学進歩で心筋MIBGやDAT-SCANが臨床に使え大いに参考になります。パーキンソン病や薬剤性パーキンソニズム、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症などの絞り込みに有用です。DAT-SCANによって高齢者のパーキンソン病が想像以上に多いことを最近経験しています。
投稿者:KUSUat 00:39| 日記