2019年07月22日
教育講演 糖尿病腎症 (1)
透析まで行かせない糖尿病治療戦略 (1)
日本大学腎臓高血圧内分泌内科 阿部雅紀教授
新しい糖尿病治療薬DPP-4阻害薬テネリアは腎機能依存性がないという利点があります。またSGLT2阻害薬は他にない特徴を持っています。我国の糖尿病性腎症では現在透析患者の42.5%を占めるに至っております。糖尿病による心筋梗塞や脳卒中は低下傾向にあり、これにはスタチンも関与していると思われます。本来の腎由来(腎炎など)の透析患者より糖尿病腎症による透析導入が1990年代より上回り、更に増える傾向にありましたがARB,ACE阻害薬、DPP-4阻害薬の導入でフラットになってきました。そしてSGLT2阻害薬の出現で透析導入をある程度阻止できる可能性も見えてきました。ただ高血圧を伴う高齢化で腎硬化症による透析導入は増加傾向にあります。加えて糖尿病患者は血管障害リスクが高いと言えます。腎硬化症による透析導入は経過8年で平均75歳です。一方糖尿病では経過5年で平均67.5歳です。糖尿病ではeGFRが60を切ると進展速度が速くなります。eGFRは後期に急激に悪化します。腎障害を第2期の微量アルブミン尿の時期に見つければARBが効きやすいといえます。年に1回は尿中アルブミン定量をやっておきたいです。腎硬化症ではeGFRが30以上ではタンパク尿はありません。
投稿者:KUSUat 09:56| 日記