2020年01月21日
石川てんかんシンポジウム 金沢
高齢者てんかんをめぐって 防衛医大精神科吉野相英教授 てんかんの年間発症率は小児期に高くその後下がり60歳を越えると再び上昇し小児期を上回るJカーブを示します。高齢者での特徴は先ずけいれんを伴わない、エピソードの鑑別診断が多い、すでに他疾患での服薬があるため抗てんかん薬との相互作用や副作用に注意などがあります。焦点意識減損発作(複雑部分発作)の形が多いのですが発作が目立ちません。持続が短く、自動症が少なく、前兆が少ないのです。発作後のもうろう状態が長く続くことがあり認知機能が低下し抑うつ症状も呈します。鑑別には心原性や神経調節性の失神、TIA(一過性脳虚血発作)やTGA(一過性全健忘)などの脳血管障害、低血糖や低ナトリウム血症のような代謝障害、他REM睡眠行動障害が考えられます。原因には脳血管障害由来が考えられますがMRIで一側偏桃体の膨大ををよく見ますが、これは薬物治療に反応し易く海馬硬化では効き目が少ないことが分かっています。一方アルツハイマー病でもてんかんになり易く77%はアルツハイマー病発症前に発作があるといわれます。MMSE24点以上の人にもてんかん発作は生じます。アルツハイマーの早い段階でてんかんが出るということはβアミロイドの貯まり始める頃と相応します。ダウン症ではβアミロイドの蓄積が有りますがてんかんを伴ってきます。10歳で老人斑が出現し50歳で半数がアルツハイマー型認知症になるといわれます。アルツハイマー病では海馬の症状を呈さない(subclinical)放電があり、このてんかん源性がアルツハイマーを進行させるとも考えられています。
投稿者:KUSUat 00:35| 日記