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2020年01月28日

石川てんかんシンポジウム (2)


高齢者てんかんをめぐって(2)   防衛医大精神科吉野相英教授  高齢者てんかんは認知症を擬態することがあります。発作後認知障害があり遷延化し易い特徴があります。もうろう状態、集中困難、意識障害、見当識障害などを呈するのです。TGAも症状では鑑別が難しいことがありますが、通常は1回ですので経過とともに整理されていきます。Transient Epileptic Amnesia(TEA一過性てんかん性健忘)は起床時に好発し数分から1時間内が多い(時には1日以上に及ぶ)健忘症です。これは抗てんかん薬がよく効きます。繰り返すと自叙伝的な重大な記憶の低下をきたし、長期記憶の忘却が加速します。非痙攣性てんかん重積状態(NCSE nonconvulsive status epileptics)は認知障害、意識障害、呼吸障害、自律神経障害などを呈し意識して脳波をとらないと見逃してしまいます。高齢者の脳波は覚醒時に異常が出にくい傾向があるため我々は検査前にラボナ50mgを経口投与し脳波検査を行っている。高齢者てんかんは抗てんかん薬少量でコントロールされることが特徴です。最近出てきたラコサミドやレベチラセタムは従来のカルバムアゼピン、フェニトインがドネペジル、ガランタミンなど他剤の代謝に影響するのに比し使い易いといえる。ラコサミドは腎機能障害が少なく他副作用も少なく継続率も高いといえる。ナトリウムチャンネルブロッカーは気分障害に対しても効果がある。  

投稿者:KUSUat 00:12| 日記