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2020年05月15日

西洋医学と漢方


10年ほど前より診療に漢方を取り入れるようになりました。それは日常診療を進めるうちに西洋薬ではどうしても上手くいかない壁があることに気付いたからです。最初は認知症に伴う幻覚が抑肝散で抑えることがことができた経験です。向精神薬の使用は老人には使いづらく副作用の多いものです。 感冒は多くがウイルス感染によるもので抗生剤は効きません。解熱鎮痛剤は感冒の治癒を早めるものではなく、種類によっては悪化要因になるという考え方もでてきました。漢方では時期や体質、症状によって複数の処方から選択して使います。最近はようやく慣れてきました。  打撲に伴う出血や腫れを速やかにひかせる薬剤は西洋薬にはありません。漢方では治打撲一方と通導散の組み合わせでかなりの効果があります。  老人でよく見られる機械的刺激や日光刺激で生ずる皮膚の赤い状態(毛細血管の拡張か又は微細な溢血か)には桂枝茯苓丸が効きます。西洋薬では改善しません。 頭部打撲の際の脳震盪による症状には五苓散が最適です。 肩こりがつらい時は葛根湯が効きますが、西洋薬だと筋弛緩薬と鎮痛薬、ビタミンBの組み合わせになります。 医療で西洋薬は主力であることに変わりはないのですが、漢方が使えると実に有難いことがあります。

投稿者:KUSUat 23:29| 日記