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2020年06月16日

頭痛、頸部痛 石灰沈着性頸長筋腱炎?


頸長筋は頸椎に沿うように前方に存在する筋肉で頸部を前屈させる作用がある。上斜部、垂直部、下斜部に分けられる。上斜部起始は第3〜第5頸椎横突起で停止は環椎前結節。垂直部起始は第5〜第7頸椎と第1〜第3胸椎椎体で停止は第2〜第4頸椎の椎体である。停止部の腱に石灰沈着をきたし炎症を起こして発症するのが石灰沈着性頸長筋腱炎である。上位頸椎前面で起きれば頭痛、頸部痛が出現し、下位で起きれば咽頭痛、嚥下痛が生じ頸部を動かすことで激痛が誘発される。診断にはCTが有用で頭痛の際は第2頸椎レベルまでは撮影域にいれないと見落とすことになる。これはクラウンド・デンス症候群からくる頭痛の診断でも同様である。咽頭痛の場合は耳鼻科受診となるが咽後膿瘍が否定的であればこの疾患を念頭に置く必要がある。私のクリニックで最近クラウンド・デンス症候群に続き石灰沈着性頸長筋腱炎の患者さんを経験した。40代女性で車運転中に左後頭部痛が出現、首が痛くて動かせなくなり翌日受診された。CTで軸椎左前面に小さな石灰化を認め、CRP2+WBC8600でNSAIDで改善した。この疾患は前者と比べて若年層に多く男女差はないといわれている。痛み止めが効果するので診断に至らずなんとなく治ってしまうものもあると思われる。

投稿者:KUSUat 15:52| 日記