2020年12月03日
脳卒中治療エクスパート ミーティング
超高齢化社会ニッポンの脳卒中・てんかん対策 杏林大学医学部 平野照之教授 80歳を越える超高齢者の脳卒中ではNVAF(非弁膜性心房細動)が原因のものが重要になります。塞栓の詰まる部位は内頸動脈32%中大脳動脈M1で50%M2が18%です。血栓回収術は早期に行わなければなりません。患者は搬入されると直ちにCT施行され出血か否かを確認後MRIが行われます。拡散強調画像で程度や広がりを確認MRAで閉塞血管を同定します。ただしこのメニューは情報を得るのに時間を要します。現在我々は造影CTだけで上記の情報を得る方法を取り入れています。造影範囲、CT血管造影、ペナンブラ(回復可能部分)の解析ができます。Canonのソフトを使っています。血栓回収術の適応は大きい脳動脈の閉塞で、障害領域が小さいものが対象とされます。CTのもう一つの利点は頭部検査に続いて全身CTも行われることで大動脈やアプローチ部位の情報が得られることです。以上の方法でこれまでと比べて搬入時から血栓回収までの時間が20分短くなり術成績の向上をもたらしています。ただし超高齢者は個人差が大きく病前状態の善し悪しが最終到達の状態に影響があり限界があります。高齢者では心房細動による心原性脳塞栓症が多く85歳以上でも事情が許せばDOACを使用するようにしています。 次に高齢者のてんかんですが原因比率で脳梗塞37%脳出血12%アルツハイマー病9%悪性新生物7%となっています。これまでは脳卒中後2週間以後で発作が2回以上のものを抗てんかん薬投与の対象としてきました。しかし最近は1回の発作でも10年以内に60%以上の確率で可能性のあるものは治療対象とする考えが出てきました。予測の目安としてCAVE score やSeLECT scoreが使われます。投薬はラコサミド、レベチラセタムが使われます。
投稿者:KUSUat 08:38| 日記