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2021年03月15日

パーキンソン病を語る会(福井)




パーキンソン病の薬物治療 順天堂大学 神経学
斉木臣二准教授  パーキンソン病の症状はこれまで振戦、固縮、寡動がいわれてきましたが、自律神経症状も重要です。便秘、排尿障害、起立性低血圧など生活に大きな影響をきたします。中枢神経の黒質や基底核にレビー小体を認め神経伝達物質であるド−パミンが低下します。自律神経障害は末梢での障害ですが、迷走神経切断によりパーキンソン病が出にくくなる現象から、末梢から中枢にかけて病態が進むということも想定されます。治療は中枢でドーパミンを補うことですが、血液脳関門のためL-dopaの形でないと脳内には取り込まれません。L-dopaは代謝が速く、遅くするためにカルビドパまたはベンセラジドを合わせた合剤が使われます。ただし、パーキンソン病と診断されていても7%の人では効果が無く30〜50%では効果が少ないと言われます。この原因の一つとしてピロリー菌感染による吸収障害や腸内細菌叢の変化による分解促進が考えられています。血中濃度を保つためCOMT阻害薬が使われますが組み合わせとしてベンセラジドとの合剤の方が効果が高いと思います。パーキンソン病で出現する前屈姿勢や首落ち現象ではドーパミンアゴニストが関与していることもあり他剤に切り替えてみることもあります。

投稿者:KUSUat 15:12| 日記