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2021年06月05日

群発性頭痛治療の新たな展開




群発性頭痛は20代から40代の男性に多く見られる頭痛で一側眼窩を中心に激烈な痛みを生じます。数時間で自然に改善することが多いが痛みで床を転げまわることもあるといわれます。そのため狂言と間違われ親族や周囲の人に?りつけられることもあり大変です。そのような痛みが群発(毎日のように)し通常1〜2月ぐらい続きます。以前はこの病気はあまり知られていませんでしたが世の中の認識も変わってきました。季節の変わり目などに出やすく最近1か月の間に3人の患者さんがありました。男性2人女性1人でした。20年以上前は酸素吸入以外に有効な手段はありませんでした。そのため患者さんの自宅に酸素ボンベを備えてもらったこともあります。現在は医療法の整備で勝手な使用ができなくなっています。その後片頭痛発作を改善するトリプタン系薬剤が効果があることが実証され使われるようになってきました。しかしこの薬剤は1日使用量が限られており長期大量使用も良くないとされています。予防にはベラパミルやバルプロ酸が使われるようですがあまり期待できません。ステロイドは効果はあるのですが体重増加や免疫力低下の影響があるためトリプタン系薬剤の使用が過多になる場合にやむなく使います。また間に在宅酸素使用をいれて薬剤使用量を減らす工夫も必要です。群発性頭痛の原因は不明ですが水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が関与しているという説があります。94例の群発性頭痛の患者でVZVワクチン接種し4年以上の経過観察で9割に有効であったとの報告があります。これが本当であれば有難いことです。VZVワクチンは保険がきかないので自費となるのでむやみに薦めるのは憚られました。昨年何度目かの発作で受診された40代の方があり、御自身でワクチンのことを調べて希望されたのです。それで発作が終わって数か月後の今年三月にVZVワクチンを接種しました。これで数年間再発がなければ効果が確かめられるわけです。もう一つ朗報があります。この4月に新しい片頭痛の予防薬(ガルカネズマブ ?エムガルテイ)がでました。月に1回の注射で慢性片頭痛、反復性片頭痛を予防できるのです。現在は適応が取れていませんが先行使用国では群発性頭痛にも使われているようです。以上の様な新たな治療法が効果あるものであれば、これからの群発性頭痛の治療は随分とスマートなものになると思われます。

投稿者:KUSUat 21:24| 日記