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2021年06月13日

内科学会北陸地方会 教育講演 認知症




認知症 早期の介入の必要性が言われています。高齢になるほど割合は増え75歳で1割95歳では7,8割が認知症になっています。半数はアルツハイマー型認知症で慢性に進行し物忘れが主体です。両側海馬の容積が減少し脳血流検査で側頭頭頂、後部帯状回の血流低下が特徴的です。病理学的には神経細胞へのAβタンパクの沈着(老人斑)タウ蛋白の沈着による神経原線維変化で特徴づけられます。レビー小体型認知症は幻視(子供の頻度が高く、かつ足元が見えないことが多い)やレム睡眠行動異常(RBD)が出ます。脳血流検査ではアルツハイマー型+後頭葉での低下が特徴です。神経細胞へのαーシヌクレインの蓄積が生じます。これはパーキンソン病と同様ですが分布には少なくとも初期には差があります。前頭側頭型認知症は意欲の低下が目立ち勝手な行動や逸脱行為が特徴です。.  アルツハイマー型認知症の治療は神経伝達物質の減少を防ぐドネペジルや神経細胞壊死を減らすメマンチンがあります。特にこの両者の併用は非使用例と比べ病気の進行が遅くなっています。メマンチンは中等症からの使用となっていますが早期からの使用が効果的との考えもあります。発症そのものを防ぐ薬剤の開発も進められてきましたが、つい先日最初の使用認可がでました。ただ色々な課題があります。診断では血液でできる方法が模索されています。予防では有力なものはありませんがMCIではスタチンが進行予防に寄与するといわれます。また有酸素運動は海馬の容積の復元効果があるという報告もあります。  レビー小体型認知症の治療ではドネペジルが使われます。幻視には抑肝散の有効性が言われています。  前頭側頭型認知症で有効性のある薬剤は現時点ではありません。

投稿者:KUSUat 19:51| 日記