2022年01月01日
2022年 年の初めに
年の初めに思いを新たにすることは有難い習慣だと思います。昨年を振り返り、それを踏まえての軌道修正や変更は大切です。
昨年は認知症を個別的に深く診ていくように心掛けて診療を進めるようにしました。簡単にパターンで分けず様々な検査も組み合わせて判断するようにしました。臨床的にはアルツハイマー病やレビー小体病として矛盾がない場合でも脳血流検査等をしてみると否定的な場合がありました。代表的な認知症は病名からして病理診断名なので症状や検査だけで全例に正確な診断をすることには限界があります。そのため必ず経過を追って修正していく必要があります。また病態が一つとは限りません。最近の例では10年以上診ていた多発性脳梗塞の方で歩きぶりや姿勢がパーキンソン病に似てきたのでDAT-SCANを行ったところパーキンソン病であることが分かりました。多発性脳梗塞は認知症をきたします。パーキンソン病は経過とともにレビー小体病に近づいて行きます。この方は新たにMLF症候群を呈する脳幹部梗塞も起こしました。昨年1月のブログで脳幹部梗塞と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係を述べていますが、簡易PSG(終夜睡眠ポリグラフィー)を行ったところ重症のSASでした。多発性脳梗塞もパーキンソン病もSASもすべて認知症と結ぶ付きます。一つの診断をして漫然と経過を診ていくと大事なことを見逃す危険性があります。思いを新たにすることはやはり大切です。
昨年の診療では慢性期脳血管障害の患者さんで約6割が睡眠時無呼吸症候群SASであることが分かりました。今年はこの事実をまとめて学会誌に出して広く知ってもらい脳卒中治療に寄与できればと考えています。
投稿者:KUSUat 00:25| 日記