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2022年01月14日

南加賀漢方研究会 心不全に役立つ漢方




心不全に役立つ漢方薬 京都大学附属病院循環器内科小笹寧子先生 心不全は年間120万人の方が新たに罹る病態で中央値は80歳です。一年以内に26%の方が再入院となります。また年間死亡率は23%と高率です。予後不良で死一歩手前の状態といって良いでしょう。その定義は簡単に述べると心ポンプ機能の破綻です。原因としては虚血性のものや高血圧由来が28%,25%と多く、ついで心筋症などがあげられます。対応する漢方薬では当帰芍薬散、牛車腎気丸、五苓散が考えられます。特に当帰芍薬散は頻脈にも有効で脈を減らし利尿剤の量もかなり減らすことが可能です。高齢になると様々な病気に罹り複数医療期間から投薬を受けます。全体として多剤服用することになり、薬剤による健康を損なう可能性が上がります。テオフィリンやβ刺激薬は脈を上げます。芍薬甘草湯は甘草の摂取過剰で偽性アルドステロン症をきたし血圧を上げます。NSAIDは腎血流を低下させ腎機能を落としたり胃腸機能に悪影響を及ぼし潰瘍をきたすこともあります。高血圧、頻脈、腎障害などいずれも循環器系に障害的に働きます。多剤使用については注意を怠ってはならないと考えます。私は心臓リハビリテーションに携わっていますが心不全診療では生活指導も大切です。貝原益軒の養生訓にある言葉では「身体は少しずつ労働すべし。久しく安座すべからず。毎日ご飯後に必ず庭のうち数百歩しづかに歩行すべし。雨中には屋の内を幾度も徐行すべし」があります。

投稿者:KUSUat 11:39| お知らせ