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2022年03月10日

神経学webセミナー 血栓回収術




日本医科大学神経内科学 木村和美教授 脳主幹動脈の急性血栓症では患者が搬入されると先ずMRIをとり、ついでt-PAを使いその次に血栓回収回収術を行うという手順になります。ところでt-PAの有効率が低いことと出血リスクを10倍にしてしまうという問題があります。血栓回収術の適応は6〜24時間でも可能です。主幹動脈の閉塞はt-PAの効果が殆んど期待できません。それで主幹動脈閉塞ではt-PAをスキップしてMRI後直ちに血栓回収術に入る方が時間を節約でき、かつ再開通の可能性も高くなると考えられます。初期段階で主幹の閉塞があるかを確認するスクリーニングとしてELVOスクリーンが提唱されています。Lは目の位置が偏っていないか(共同偏視)Vは何かを見せて言葉で答えるOは指4本を見せて本数を答える(視覚失認)。以上のうち一つでも出来なければ主幹の閉塞を疑い血栓回収術適応の可能性が高いと判断して進めます。これは感度86%特異度72%偽陰性6.9%擬陽性47%のテストで簡単で精度も悪くないと言えます。救急隊員がELVOスクリーンを行い主幹閉塞疑いは血栓回収術ができる施設に直接搬送することで貴重な時間を管理することが可能となってきました。脳梗塞の院内発症は全例の4.4%といわれ、特徴はafが59%で目立ち重症で成績もよくありません。院内発生は医療安全管理の範疇にいれてFAST(face,arm,speech,time)を念頭に疑われれば主治医を通さず看護師から直接われわれに連絡をもらい対処する体制をつくっています。このことで貴重な時間を浪費することなく治療に当たれるようになりました。

投稿者:KUSUat 15:44| 日記