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2022年09月17日

高齢者における脳波検査




認知症とてんかんを中心に 名古屋大学 脳とこころの研究センター 寶珠山 稔教授 神経活動は通常は脳波検査で行われます。各種意識障害、てんかん、認知症、脳血管障害、頭部外傷、プリオン病、中毒代謝障害、脳腫瘍等の診断治療に重要な検査です。てんかんの発症率は高齢化により老人において増加しています。10万人あたり10代60人40代40人75歳以上120人となっています。てんかんにはEEG(脳波)が必須です。高齢者のてんかんの特徴は部分てんが多く複雑部分発作や二次性全般発作が目立ち非痙攣性てんかん重積(NCSE)の時がある。持続時間や意識回復までの時間が長いもの(数時間から数日)があり後遺症や認知症の出現悪化を生じることもある。65歳以上のてんかんでは複雑部分発作が47%全般化を伴う複雑部分発作が40%で側頭葉てんかんが71%前頭葉てんかんが8%である。半数は原因不明15%が脳血管障害10%が認知症による。NCSEは脳波は重積を示すが痙攣のないものをいう。抗てんかん薬の静脈注射で臨床症状脳波所見共に改善する。症候性てんかんは脳血管障害後数か月から数年後に生ずることがあり頻度は7%で広範囲病変で生じやすく脳波上は焦点性であったりデルタバーストを呈したする。認知症においては脳血管障害性やレビー小体型認知症、認知症を伴ったパーキンソン病は初期より脳波異常を呈するがアルツハイマー病や前頭側頭型認知症では中等度以後で呈することが多い。進行性核上麻痺(PSP)では異常を呈さない。アルツハイマー型認知症では2〜6%レビー小体型認知症では3〜15%でてんかんを伴う。肝不全、腎不全、心不全、脱水、電解質異常、高血糖、低血糖、では脳症をきたす。脳波所見は徐波化、優位律動消失、θ波の増加、δ波の増加、低電位脳波の順で悪化する。三相波は特徴的な波のひとつである。

投稿者:KUSUat 17:39| 日記