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2023年03月05日

生涯教育講演 内科学会 SGLT2阻害薬


心不全標準治療薬の革新(SGLT2阻害薬)金沢市立病院循環器内科 村井久純先生 人口は減少傾向だが高齢人口は増えており心不全患者数も増えている。急性心不全は対応が改善しているが慢性心不全は治療が十分でない。ARNI(angiotensin receptor neprilysin inhibitor)の出現により心不全の治療が進化していますが更に糖尿病の治療薬として新たに登場してきたSGLT2阻害薬が心不全腎不全にも効果があるということで注目されています。慢性心不全の70%に慢性腎障害がありSGLT2阻害薬の使用20ヶ月頃より心腎ともにコントロールと比べ予後が改善してきます。機序は利尿作用や血圧降下作用が考えられますが、既に利尿剤降圧薬が使用されているのですから他の機序も考えなければなりません。SGLT2阻害薬は交感神経抑制効果を持ち他薬剤にはない中枢神経系においても抑制効果を発揮することが特徴です。βブロッカーは末梢レベルで作用し中枢神経系には影響しません。交感神経活動を筋交感神経活動測定(MSNA)で評価するとSGLT2阻害薬の交感神経活動抑制効果は心不全例で顕著でした。また静脈還流圧の上昇を抑制し過剰な容量負荷を抑えます。また他の薬剤では予後は改善するものの運動耐容能は改善しないのですが、この薬では改善作用を期待できるため生活の質の向上が考えられます。

投稿者:KUSUat 23:09| 日記