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2023年07月06日

レクチャー レビー小体認知症


レビー小体型認知症(DLB)について 東京医科歯科大学脳神経病態学 三條伸夫特任教授 現在認知症に関してはMCI(軽度認知障害)は経過観察で、認知症に至って治療が開始されます。ただこれまで症状が出現してから根本的治療をしてみて効果がないことが分かってきました。根本治療はMCIまたは前駆期より開始する必要が有ります。アルツハイマー型認知症(AD)ではレカネマブ等が使用できる状況になってきました。MCIもDLBではADと異なります。記憶障害は目立たないことがありRBD(レム睡眠行動障害)、自律神経障害、嗅覚障害、視空間障害、パーキンソン症状が特徴として考えられます。このためMBI(mild behavial impairment)という表現がDLBの場合適切と思われます。 DLBの診断では(1)注意力の低下、認知の変動(2)繰り返す幻視(3)RBD(4)パーキンソニズムの中で二つ以上該当すれば確定します。またこれらの項目の一つとバイオマーカーのDAT-SCAN(感度75%〜95%特異度15%〜95%),心筋MIBG(感度70%〜95%特異度90%〜98%),終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)でのRBDの所見の一つ以上で確定診断することも出来ます。またBLDは向精神薬に対して過敏性があり転倒、失行、一過性無反応、自律神経障害を誘発するリスクがあります。CT,MRIで側頭葉内側面は比較的保たれます。ただしADを合併することが有ることを忘れてはいけません。SPECTでは後頭葉の血流低下を認めます。後帯状皮質の血流は温存されこれをCingulate Island Signと呼び特徴的であるとされます。治療ではドネペジル3mgから始め効果良ければ増量せず続けます。ADもDLBもMMSEで一年間で4点以上低下するようであれば薬の増量を考えます。パーキンソン症状については基本はレボドパを少量より開始します。ドパミンアゴニストは精神症状を悪化させることがあり使いません。ゾニサミドは副作用が目立たず使い易い薬剤と考えています。

投稿者:KUSUat 23:29| 日記