<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2011年03月10日

黄色い壁紙

シャーロット・パーキンズ・ギルマンの短編『黄色い壁紙』を合評しました。

2011年1月22日に第30回例会を行い、参加者は12名でした。
 今回は大人数の参加でした。
 合評した『黄色い壁紙』ですが、事前に皆さんに質問をお送りし、当日に備えてきていただきました。質問は、
 Q1 今回の「黄色い壁紙」のような狂気と超自然の裡にあるような怪奇小説で、ご存知のものがありましたらぜひ教えてください。
 Q2近代的なゴースト・ストーリーは怪異の源を人間の内側に求めていくようですが、ゴースト・ストーリーに限らず、いわゆるミステリ全般で、そのような作品、ご自身がよくできた作品だと思われる作品を教えてください。(できれば日本のもの、海外のもの両方を)
というものをお願いしてありました。

 みなさん普段あまり読まないタイプの作品だったのか、様々な感想をいただけまして(Q1・2の答えと、感想を合わせて言っていただいた感じです)、
「感情のテンションがずっと一定なので、どこでおかしくなったのかわからない。そこがうまくてこわい」といったものや、
「子どもを産んでおかしくなったのか、壁紙にとらわれておかしくなったのか。霊的なものよりは狂気の世界に傾いていて、きれいにまとまっていると思った。主人公の女性もわかりやすく書いてある」
「壁紙をはずしたのではなくて、自分の皮膚を剥いだのでは?」
「後半にいたって、夫のジョンが何か犯罪をかくしているのではと思った」
「自分の内面性を分析して書いていくのは主題としては古いかも。でも巧みに書いている」(これは実際昔の小説です)
「なぜこんな本を書こうと思ったのか、変身願望なのか?さっぱりわからないが、乱歩なんかとシンクロした読後感があった」
「本格好きとしては、この部屋に何かがあった、とか、ジョンがこの部屋で殺人を犯した、とか思った。想像させる材料としては面白い」
「読んでる私がおかしくなりそう(笑)。ミステリっぽくないし、オチがない」
「淡々と書いていて、下品じゃない」などなど、盛りだくさんでした。

 また、この作品を読んで思った他の小説としては、乱歩を挙げる人が何人かおいでました(『芋虫』、『鏡地獄』、『赤い部屋』などなど)。
 他には、新耳袋から『山の牧場』、ハリー・クレッシング『料理人』、恩田陸『私の家では何も起こらない』、サラ・ウォーターズ『エアーズ家の没落』、S・キング『シャイニング』、小池真理子『墓地を見おろす家』、夢野久作『ドグラ・マグラ』、ポー『黒猫』『アッシャー家の崩壊』『落穴と振り子』、綾辻行人『人形館の殺人』など、さすがミステリ倶楽部、たくさんの作品が出てきて、とても参考になりました。
 戦前の日本は、狂気や自分の内面を見つめる本が多かった、との意見もありました。
 漫画では、楳図かずお、伊藤潤二、花輪和一などの名前があがりました。
 『黄色い壁紙』は、いわゆる謎解き推理小説では全然なく、本に紹介されていたように、この作品で描かれているものは「狂気」と「超自然」の裡にあるもので、何人かの方から「よくわからなかった」という感想をいただいた時には、内心へこみました。
 しかし、選んだ担当者は、この作品を好きですけども、じゃあわかっているのか?と聞かれると、どうなんでしょう、この文章自体が好きなもので、主人公に自己投影して、この作品を味わうことが好き、というか楽しい、そういう楽しみ方をしているものですから、説明を、と言われると、なんとも難しいですね。
 描かれているもの、文章、それらを味わってみて、好きか嫌いか、で判断するしかないのかな、と思いました。

投稿者:keita2at 06:06| お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

◆この記事へのトラックバックURL:

http://control.onair-blog.jp/util/tb.php?us_no=4202&bl_id=4202&et_id=184102

◆この記事へのコメント:

※必須