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2012年03月15日

ホームズとルパンを語る会

すっかり、更新さぼってましたが、金沢ミステリ?楽部は、現在進行形で活動中で、
もうすぐ会誌vol.4も完成予定です。
北陸三県、広くメンバーを募集中です。

さて2011年3月19日の例会報告を、って一年前ですが。
原点に返って
「ホームズとルパンについて語る会」ということで例会を開催しました。
担当のもつさんのその時の例会報告です。


 ホームズについては、最初に出会ったミステリだった、という方が四人。NHK等で放映されたドラマの印象も強いようで、三人の方が思い出を語ってくれました。作品としては「バスカビル家の犬」「踊る人形」などが評価が高かったようでした。さすが世界のドイル、うんちくも数多く披露され、特にホームズの特技、柔術(バリツ)については興味を持っている方が多かったようです。
 現代的な感覚でホームズものを読むと、本格としては少々物足りないといった感想もありました。これはすべてのミステリ古典に共通する難しさかもしれません。Anjueさんの小学生の息子さんがドイルを面白く読んでいるというお話や、Iさんが生徒に「ホームズの冒険」のカセットブックを生徒に聞かせたところ喜んでいた、というお話を聞くと、いや、ホームズも古典もまだまだ安泰と安心します。
 Cさんがホームズの大ファンであるとおっしゃって、「まだらのひも」の原題には、ふたつの意味(ひもとジプシーの一団)を持つ「band」が使われており、「ひも」という訳し方では半分ネタばれしてしまう、という、まさにシャーロキアンな知識を教えてくださったのには感動しました。また、最初に出会ったのがルパンでなくホームズだったそうで、おそらくどちらに先に出会うかということがどちら派になるかに影響を与える、というご意見には同感しました。

 ルパンについては、アニメ「ルパン三世」のイメージが断然強いようでした。ルブランが(勝手に)ホームズとルパンの対決を描き、なおかつルパンを有利にしている(「ルパン対ホームズ」)のはどうなんだ、というごもっともなご意見が。作品では「ルパンの冒険」「虎の牙」「813」が面白かったとあげられていましたが、全体的にルブランを読んでいる方は少ないようでした。

 進行は、「少しホームズ・ルパンを知っている」→「かなりファン」→「まったく初心者」の順で話し、最後に「まったくの初心者」としてKさんに感想をまとめていただきました。「今度読んでみようと思った」とおっしゃってくださいましたが、あの状況でそれ以外の意見はなかなかいえないですよね(笑)、予定調和を押しつけて申し訳ありませんでした。(個人的には読んでも読まなくても、どっちでもいいと思います。)

 どうしてルパンがフランスであれほど人気を博したか、というHさんに、「(イギリスとフランスの対決という)時代背景ではないか」と薄っぺらい意見を言いましたが、更にフランスの国民性もあるのではないかとも思いました。フランス文学というと、サガンやカミュといったアンニュイな印象がありますが、もう一方でデュマやヴェルヌなどの大冒険小説の流れもあります。冒険大好きなフランス人が、ホームズが発表され、そのおもしろさに気がつかなかったはずがないと思います。夢中になって(もしかしたら隠れて?)読みながらも、それが憎っきイギリスのものだというジレンマ。それを解消したのがルパンではないかと思います。ルパンはミステリというだけでなく、冒険小説としての文脈でも語られるべきかもしれません。・・・こっちの意見も浅かったですね(笑)。すみません。

投稿者:keita2at 06:58| お知らせ | コメント(0) | トラックバック(0)

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